猫の糖尿病の治療費はいくら?インスリンの費用や治療方法も解説!
2023年11月8日
アビシニアン, アメリカン・ショートヘア, アメリカンカール, サイベリアン, スコティッシュフォールド, ソマリ, ノルウェージャン・フォレストキャット, ブリティッシュ・ショートヘア, ペルシャ猫, マンチカン, ミックス(雑種), ミヌエット, メインクーン, ラグドール, ロシアンブルー, 糖尿病
最近はふくよかな猫を多く見かけるようになりました。
愛されているんだろうなと思う反面、糖尿病にかかってはいないかと心配になることもあります。
もし愛猫が糖尿病にかかったら治療費はいくらかかるのでしょうか。
この記事では
・糖尿病の治療法や予防法
・猫の糖尿病におすすめの保険
猫の糖尿病ってどんな病気?
猫がかかりやすい病気の一つに糖尿病があります。
糖尿病は何らかの原因で血液中のブドウ糖の量(血糖値)が持続して高くなる状態のことをいいます。
健康な猫の体では血糖値が上がるとインスリンというホルモンを出してエネルギーである糖分を細胞に取り込みます。
糖尿病はこのインスリンが上手く機能していないことから血糖値が下がらず、身体に様々な症状が出る病気です。
糖尿病の原因は主に2つあげられます。
・肥満などで体内のインスリンが効きにくくなるタイプ(Ⅱ型糖尿病)
猫の8割はⅡ型糖尿病だと言われています。
猫の糖尿病の原因
Ⅱ型糖尿病の主な原因は
・膵炎
です。
肥満
猫が肥満で糖尿病にかかる多くの理由はヒトと同じです。ヒトも猫も糖尿病には食生活が重要な要素のひとつです。
猫にとって不適切な食事は肥満につながると言われています。不適切な食事とは低タンパク、高炭水化物のものです。
猫が自然界では食べることのない炭水化物が多く含まれている食事を食べ続けることがいかに不適切かは一目瞭然です。
加えて炭水化物は高GI食品として知られています。
高GI食品とは摂取すると血糖値が急激に上昇し高血糖状態になる食品のことです。
猫にとっては炭水化物は消化が不得意である上に高GI食品ともなると、肥満になるのも当然です。
さらに動物性タンパク質のような高タンパク質の食事を摂る必要がある猫が低タンパク質なフードを食べることには違和感しかありません。
適切なフードとは猫の本来の食生活に合わせて作られており
・消化が苦手な炭水化物は極力少量
のものが「適切」といえるでしょう。
使用してるフードが何の成分で作られているか確認することは猫の健康を守るために重要なことです。
膵炎
加えて猫の場合だと膵炎で糖尿病になることがあります。
膵臓はインスリンというホルモンを分泌し、血糖値を維持できるように調節してくれています。
膵炎で働きが悪くなるとインスリンを充分に分泌できず体を動かすエネルギーである糖分を細胞に取り込めなくなります。
そのことにより血糖値が上昇し高血糖になります。
猫の膵炎の原因ははっきり解明されていませんがストレスや感染症などが要因とも言われています。
そのため膵臓の炎症がなくなると糖尿病が治ったのと同じ状態を維持する意味である「寛解(かんかい)」のケースもあります。
なぜ、高血糖になってしまうの?
血液中の血糖値が高い高血糖は
・血液の糖分が出ていけない
ために起こります。
インスリンは血液中の糖分をエネルギーに変えて筋肉や細胞に分けます。
入ってくる糖分が多すぎるとインスリンが働いても追いつかず血液中に処理されなかった糖分が残ります。
こうして高血糖になります。
さらにこの状態が続くと筋肉や細胞が糖を取り込む能力が低下して血液の糖分が出ていけなくなります。これを「インスリン抵抗性」と呼びます。
インスリン抵抗性があると血糖値が下がりにくくなり、血糖値を正常状態に戻すためにより多くのインスリンが必要となってしまいます。
その結果膵臓の細胞が弱っていきインスリンが枯渇してしまいます。そうして最終的にはⅡ型糖尿病を引き起こします。
血液の糖分が出ていけないもう一つの理由としてインスリンが働いていないことにあります。
Ⅰ型糖尿病と言われるもので、膵臓ではまったくインスリンが分泌されていません。
体内でインスリンを生成できないため、体外から補給しないと生命に関わります。
Ⅱ型糖尿病から発症して膵臓がインスリンを生成できなくなり、Ⅰ型糖尿病と診断されることもあります。
猫は糖尿病が起こりやすいの?
猫は糖尿病にかかりやすく、アニコムの「みんなのどうぶつ病気大百科」では10歳以上で2.26%といったデータがあります。
このことから特に高齢の猫がかかりやすいことが分かります。
高齢になると代謝が落ちることから若いころほどカロリーを必要としなくなります。
加えて膵臓の働きも悪くなることから高齢な猫ほど糖尿病にかかりやすいと考えられます。
糖尿病の症状は?
糖尿病の主な症状は
・オシッコの色が薄く、ニオイも弱くなった
・歩き方(後ろ足)がおかしくなる
・食欲旺盛だが体重が減少する
があげられます。
猫が糖尿病になると血液中のブドウ糖が多くなります。
猫の身体はブドウ糖の濃度を下げて改善させようとして、初期症状では水を多く飲むようになります。
おしっこの量も増え水分量が多いことからおしっこは色と臭いが薄くなります。
またおしっこと共に体の中の水分が多く使われてしまうと脱水傾向になるため、さらに喉が渇き水を飲むといった悪循環が生まれます。
加えて食事として得た糖分が尿に出てしまうので栄養がだだもれになり、その結果ご飯を食べてもエネルギー不足になりどんどん痩せていってしまうのです。
さらに糖尿病には合併症があり、歩き方がおかしくなっていれば「糖尿病性神経障害」にかかっている可能性があります。
他にも
・高いところにジャンプできなくなる
など後ろ足に症状が見られることがあります。
糖尿病末期になると腎障害の悪化や肝疾患を併発し黄疸がみられることがあります。
この時期では合併症として「糖尿病性ケトアシドーシス」にかかっている可能性が高くなります。
危険な「糖尿病性ケトアシドーシス」
この「糖尿病性ケトアシドーシス」は極度の糖不足により飢餓状態になってしまった際に起こります。
糖尿病になった猫の体は、インスリンの不足や機能不全で細胞内に取り込まれるエネルギーが減ると、足りないエネルギーを貯蔵している脂肪で補おうとします。
肝臓で脂肪が分解される時の中間代謝産物としてケトン体が発生するのですが、このケトン体が増えてしまうと血液が酸性に傾きます。
この血液が酸性になった状態を「ケトアシドーシス」といい、糖尿病が原因のものを「糖尿病ケトアシドーシス」といいます。
中性で均衡を保っていた猫の血液が酸性に傾くと比較的短い期間で様々な症状を引き起こし、急死という最悪の結果をもたらします。
・食欲不振
・水を飲まなくなる
・元気がない
・嘔吐
・下痢
・昏睡
糖尿病ケトアシドーシスは発症すると症状が急変してしまい、早急に治療を行わないと死に至る恐ろしい状態です。
遅くなればなるほど回復する確率が低くなります。
ケトアシドーシスにならないためにも糖尿病と診断されたら放置したり自己判断でインスリンの量を調節せず、定期的な検査で適切な治療を受けることが重要です。
治療法は?
猫に多いⅡ型糖尿病と診断された場合、症状が軽い場合はインスリン治療を行わないことがあります。
そのようなケースだと
・運動療法
で糖がたまりにくい身体にするための生活習慣改善を行います。
糖尿病の療法食としては各メーカーが高タンパク・低炭水化物の理想的なフードを開発しています。
獣医師の指導のもと、適切なフードで食事の見直しを行いましょう。
加えて糖尿病の猫にも運動が必要ですが、ヒトのように体のためなどと考えて運動することはできません。
そこで猫じゃらしなどで飼い主さんが一緒に遊んであげることをおすすめします。
コミュニケーションも取れて一石二鳥です。
猫でもまれに存在するⅠ型糖尿病ですが、Ⅰ型は自身の体でインスリンを作ることができないため一生インスリンの投与が必要です。
Ⅰ型糖尿病の完治はありませんが血糖値さえコントロールできれば猫の生活のクオリティは下がりません。
愛猫の苦しい姿を見ないためにも血糖値を上手にコントロールしていきましょう。
インスリン治療は大変?
糖尿病では最も重要なインスリン治療ですがとても大変です。
インスリン治療のポイントは大きく分けて3つあります。
・自宅で決まった回数と量のインスリン注射
・定期的に通院して血糖値を計り、その都度インスリンの量を微調整
インスリンは投薬量を規定以上に超えると死亡してしまう「劇薬」です。そのため絶対に量を間違ってはいけません。
さらには個々によってインスリン抵抗性があることからインスリンを注射後、どれくらい血糖値が下がるのか下がらないのかといったことを血液検査で調べます。
この検査では数時間おきに採血して血糖値を測定しなければいけません。
正しい結果が出てインスリンの量が決まれば自宅での治療が始まります。自宅では飼い主さん自身の手でインスリン注射を行う必要があります。
獣医師より指導された量と回数を守ることが重要です。
もし多く投与してしまった場合低血糖になる恐れがあるため、低血糖対策は事前にかかりつけ医から指導を受けておくといいでしょう。
逆に打ち忘れた場合の対策方法を、インスリンを取り扱っている製薬会社のHPでは下記のように記載しています。
■1回分を注射し忘れた場合
かかりつけ獣医師に連絡し、対処法の指示を受けてください。すぐに連絡がつかない場合は、猫の状態に異常がなければ次回の注射を通常どおり行います。
引用:ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン(株)「プロジンク®の投与方法」
また、病院での定期的な血液検査でインスリンの量を調整しなければいけません。
自己判断で治ったと勝手にインスリンをやめると糖尿病が悪化し、先述した糖尿病ケトアシドーシスなどの合併症で重篤な症状を引き起こす可能性があります。
Ⅱ型糖尿病ならインスリンと食事療法でインスリン投与が不要な数値まで回復することもあります。
諦めずに治療を行ってインスリンからの離脱を目指しましょう。
【猫の糖尿病】費用はいくら?治療費はどのくらい?
猫の糖尿病の治療費はどれくらいかかるのでしょうか?
アニコム損保が2017年度始期で契約開始した猫100,472頭(0~12歳)を調査したところ、このような結果が出ました。
治療内訳 | 平均単価 | 年間平均 |
診察費 | 12,238円 | 321,831円 |
入院 | 58,473円 | 114,447円 |
年間の平均通院回数は13.4回という報告もあります。
つまり猫が糖尿病にかかると目安としては、1年間で13回程度の通院が必要で、年間で平均約32万円の診察費用がかかるというわけです。
糖尿病は基本的に自宅でインスリン注射を行う治療方法なため、症状が重篤でない限り入院の必要がありません。
そのため平均の金額は診察費用の方が上です。
当然この金額には個体差があり、これより多くかかる猫もいれば少ない猫もいます。
早期発見、早期治療で症状も軽く治療費用も抑えることができます。
愛猫の異変を察知したら獣医師に相談するようにしましょう。
糖尿病になってしまったら?
猫が糖尿病になってしまったら血糖値のコントロールが重要になってきます。
糖尿病が初期で症状も軽ければインスリン治療を必要としない場合もあります。
インスリン治療を選択しないケースでは食事療法を中心として血糖値のコントロールを助け、高血糖状態が続かないようにします。
糖尿病専用の療法食や高タンパク・低炭水化物など、猫に適したフードを与えましょう。
同時に運動療法で飼い主さんが遊んであげると、糖がたまりにくい身体にするための生活習慣改善に役立ちます。
インスリンが必要なケースでも適切な量を適切な回数投薬していれば、インスリンを離脱することも不可能ではありません。
愛猫の様子を見ながらきちんと投薬して血糖値をコントロールしましょう。
糖尿病の予防法は?
糖尿病を予防する方法は何より肥満にさせないことです。
そのためにはいつも与えるフードは猫に適切なものを選ぶ必要があります。
肉食性の猫には高タンパク・低炭水化物のフードを選ぶようにし、普段から栄養成分が偏った食事にならないよう注意しましょう。
定期的な血液検査で血糖値を把握しておくことも重要です。
猫の糖尿病におすすめの保険は?
基本的に猫の糖尿病はペット保険で補償されますが、中には補償の対象外としているペット保険もあります。
また上述したとおり猫の糖尿病は長期の治療が必要になります。
ペット保険は基本的に1年の保険期間の契約となり、自動的に更新していく形になります。つまり、毎年更新の審査をされることになります。
猫の糖尿病のような完治が難しい病気は、次年度の契約から補償の対象外となってしまう可能性も高いです。
ペット保険比較アドバイザーでは、猫の糖尿病に対しておすすめのペット保険をご紹介します。
おすすめの理由としては、
・更新時に条件を付けないペット保険の中でも、通院に強い
の2点があります。
猫の糖尿病の治療を考えると、一番おすすめはアニコムです。
アニコムでは保険金請求回数に応じた保険料割増制度ありますが、「腸内フローラ測定」を年一で行えるため、猫の死因ランキング1位である腎不全の予防までできる他、外出しずらい猫には有効な健康チェックです。
測定結果によっては血液検査も無料で受けることができます。
ただし、細かい補償内容や金額についてはもちろん違いがありますので必ず重要事項説明書や保険約款、パンフレットや公式HPを確認してください。
あくまで参考ですが、そもそも病気にさせたくないと考える飼い主様にはアニコムがおすすめです。
メリット | デメリット | |
・歯科治療も補償 ・「腸内フローラ測定」等の予防型サービスも付帯 ・通院は一日当たり14,000円×年20日まで補償(補償割合70%プラン) |
保険料が高い 保険金請求回数に応じた保険料割増制度あり |
2年目以降のご契約継続について
弊社の商品の保険期間は1年間ですが、ご契約には「継続契約特約」を適用して引受をさせていただいておりますので、解約等のお申し出がない限り満期後は、原則ご契約は自動的に継続となり、終身ご継続いただけます。
※ご注意
・ご契約者または弊社より別段の意思表示があった場合には、ご契約は継続となりません。
・自動的にご契約が継続とならない場合や、商品改定により保険料、補償内容などが変更となる場合があります。
引用:重要事項説明書
補足:先天性疾患が発症する前に!遅くとも7.8歳までには加入しよう
ペット保険は、加入する前に発症している先天性疾患や既に発症している病気や疾患は補償の対象外となります。
そのため、病気になってから保険に加入しようとしても、肝心のその病気の治療費は補償の対象外になってしまいます。
また、加入後に発見できた病気であっても先天性疾患を補償の対象外としているペット保険や、慢性疾患にかかると更新できない保険もあります。
また一般的にペット保険では8~12歳で新規加入年齢を設定していることがほとんどです。早いところでは7歳で新規加入を締め切るペット保険もあります。
「健康なうちに加入しないと意味がない」「また年齢制限に引っかからないから保険の選択肢が広がる」という意味で遅くとも7~8歳までにはペット保険の加入、少なくとも検討をすることをおすすめします。
補足ですが、アニコムやプリズムコールではシニア向けのペット保険商品もあります。しかし保険料も高くなり、補償内容のグレードも普通のプランより下がってしまいます。
高齢・シニア向けのペット保険については下記の記事でも解説していますのでぜひ参考にしてください。
よくある質問
猫の糖尿病と診断されたので療法食として餌を動物病院で購入しました。保険の補償対象になりますか?
ただし入院中の食事に関しては対象となるペット保険もあります。
詳しくは各保険会社へお問い合わせください。
猫の糖尿病は治りますか?
インスリンから卒業するためには独自の判断で治療をやめないことが大切です。
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に入ることをおススメします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
【猫の糖尿病って治る?初期症状や気になる治療費は?】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・糖尿病の治療法や予防法
・猫の糖尿病におすすめの保険