この記事では
・猫が口呼吸をするときの対処法
人間と動物の口呼吸の違いとは
人間以外の哺乳類は「食べ物が通る食道」と「空気を肺まで送る道」が完全に分かれています。
そのため多くの動物は
なりません。
例えば犬は口呼吸をしますが体温冷却が主です。呼吸が浅く速いため肺に届く酸素は限られます。
一方人間の場合は鼻と口がつながっているため、どちらからでも呼吸ができます。
このように人間以外の哺乳類の口呼吸というのはかなり特殊なものです。
猫の口呼吸は病気やストレスのサイン
犬は気温が高いときや興奮した時など、浅く速い「パンティング」という口呼吸を行います。
一方猫が口呼吸している姿はめったに見ることはありません。
そんな猫が口呼吸を行う理由の一つに
があげられます。
健康面に問題がない場合もありますが、もし病気が隠れているのだとしたら見逃せませんよね。
猫が口呼吸を行っているときには問題があるのか否かを見極めることが大切です。
猫は基本的に口呼吸をしない生き物
まずは猫の呼吸について解説しましょう。
猫は基本的に口呼吸をしません。
なぜなら
からです。
猫の視力は人間と比べると10分の1程度です。
一方で嗅覚は人間の20万倍以上というから驚きです。
猫の鼻は
・危険なもののにおいをかぎ分ける「嗅覚器官」
・空気の温度をはかる「温度センサー」
などの役割があります。
猫は単独行動をする動物のため、自分の身は自分で守らなければいけません。
嗅覚を研ぎ澄ませて危険なものの存在を確認し、テリトリーを守ることで自分の身も守って生活しているのです。
死ぬ危険性がある病気が原因の場合も
猫が口呼吸している場合、放置すると危険なケースがあります。
口呼吸が得意ではない猫がハアハアと口を開けて息をしているのは、それだけ差し迫った状況ということがわかります。
例えば
・心臓や血液の異常
などが考えられます。
また病気やストレスが原因で呼吸が浅くなったり、荒くなったりすることもあります。
猫は繊細な生き物のため、ストレスを感じていないか見直してみることも重要です。
子猫は運動後などに口呼吸することもある
たくさん遊んだあと等、激しい運動により、口呼吸が本来苦手な猫も一時的に口呼吸を取り入れることがあります。
成猫では稀ですが子猫だとよく見られます。
・子猫は加減を知らない
・内臓の働きが未発達
自分の体力の限界を知らない子猫は、成猫と違って加減をすることなく動き回ってしまいます。
子猫が電池が切れたようにいきなりパタッと眠るのもそのためです。
加えて子猫は心臓や呼吸器の発達が未熟であることが影響しているとも考えられます。
短時間でも運動をすると口を開けたまま早い口呼吸が見られます。
ただし健康に問題がなければしばらくすると鼻で呼吸するようになります。
心配な場合は、こまめにお水を与えたりケージに入れたりして少し休ませるような工夫をしてみてください。
猫が口呼吸をする原因
たまに舌をしまい忘れて「アカンベェ」になっていることはあっても、猫がポカーンと口を開けていることはほとんどありません。
それくらい猫が口を開けるのは珍しいことです。
そんな猫が口呼吸をする原因として4つあげられます。
・夏の暑さや熱中症
・鼻づまり
・心臓や呼吸器などの病気
原因①:ストレス(車に乗せた時など)
猫にとって大きなストレスが降りかかると「急性ストレス」を感じ口呼吸をすることがあります。
車が苦手な猫は多く、飼い主さんが一緒であってもキャリーケースの中でハアハアと口呼吸をしてしまいます。
症状 | ・耳を伏せる ・瞳孔が大きく開く ・固まる、もしくは隠れるようなしぐさをする ・食欲が落ちる ・排泄の回数が減る |
原因 | ・車など乗り物での移動 ・チャイムや掃除機などの大きな音 ・来客 ・留守番やホテル、動物病院 |
家の中でも掃除機の大きな音を怖がったり、来客が苦手な子もいます。
また以前に体験した嫌な記憶を思い出してストレスを感じてしまうこともあります。
愛猫のストレスをできるだけ減らすためにも、嫌いなことや苦手なことは把握しておきましょう。
原因②:夏の暑さ(熱中症)
犬のように、猫も暑さで口呼吸をする場合があります。
しかし猫の口呼吸は犬よりも深刻で、熱中症の可能性があるため軽視できません。
実は猫は犬よりも熱中症になりにくいといわれています。
・暑くなると涼しくて快適なところを自分で見つけて移動するから
・砂漠で生活していたリビアヤマネコを祖先に持つから
しかし体で汗がかけないのは犬と同じです。
そのため猫の体温調節は
・グルーミングで毛を濡らして気化熱を利用する
・毛の薄い耳から熱を放出する
などでおこなっています。
猫は基本的に鼻で呼吸をする動物なので、犬のようにハアハアと舌を出して口呼吸で体温を下げることはあまり得意ではありません。
つまり猫が口呼吸をするのは体温調整ではなく、熱中症で苦しんでいる可能性があることを意味します。
5月から熱中症で病院に運ばれる猫が増えてきます。まだ暑くないからと油断しないようにしましょう。
少なくとも秋口までは気を付ける必要があります。
原因③:鼻づまり
猫の世界でも鼻づまりは存在します。
鼻がつまってしまうと鼻で呼吸が難しいため口呼吸になったりします。
また匂いを感じづらくなるためご飯を食べなくなることもあります。
原因 | 症状 | |
感染症 | 猫風邪 | ・発熱 ・くしゃみ ・さらっとした鼻水 ・目やに |
クリプトコッカス症 | ・血が混じったような鼻水 ・鼻出血 |
|
口腔内疾患 | 出血がある場合も | |
鼻腔内リンパ腫 | 呼吸するときにブーブー、ガーガーといったいびきのような音が聞こえる | |
アレルギー | ・くしゃみ ・鼻水 ・涙 |
鼻呼吸をしていて
・ぷしゅぷしゅやプープーなど変な音が鳴る
ようであれば鼻の調子が悪い証拠です。
鼻からの異音はゴロゴロと喉を鳴らす音に似ている場合もあります。
どちらか迷ったら喉の辺りを触ってみましょう。
喉が震えていなければ鼻づまりを起こしている可能性があります。
感染症
猫の鼻づまりの原因としてよく知られている「猫風邪」は
・猫カリシウイルス感染症
の総称です。
これらの感染症は、猫のウイルス性上部気道感染症のおよそ9割を占めているほどメジャーな疾患です。
クリプトコッカス症とは鳩の糞便に含まれている真菌(カビ)が原因でかかる感染症です。
猫白血病(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染し、免疫機能が低下したときに感染すると言われています。
これらのウィルスは
することができます。
口腔内疾患
いわゆる歯石や歯垢などの付着で歯肉炎が悪化すると鼻水の原因になることがあります。
歯肉炎は進行すると歯の根元に膿が溜まります。
と鼻づまりの原因になります。
歯肉炎を放置してしまうとあごの骨を溶かしてしまう可能性があります。
そうなると鼻水だけでは済まないため、歯磨きなど歯肉炎にならないような対策が重要です。
鼻腔内リンパ腫
猫の鼻腔内腫瘍の多くが悪性のリンパ種です。
鼻腔内に腫瘍が発生する確率はかなり低いのですが、発生した場合はほとんどが悪性のため注意が必要です。