・ペット後進国と言われる日本の現状と取り組み
・ペット先進国8選
ペット先進国とはどんな国?
ペット先進国とは「動物の権利が尊重され、動物愛護の精神の高い国」と言えるでしょう。
国民全体が動物を理解しており、動物に関する法律が整備されています。
動物保護の先進国と呼ばれているフランスがついに2024年からペットショップでの生体の展示販売の禁止を決めたことでも注目されています。
日本はペット後進国?最近の法改正や取り組みを紹介
日本は「ペット先進国」の中に含まれるかというと、残念ながらそうではありません。日本がペットに関して後進国に甘んじている原因の一つに「法の整備」があります。
ペットに関する日本の法律は以下の二つです。
・動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)昭和48年(1973)に制定(1999、2005、2012、2019年に改正)
・狂犬病予防法(1950年制定)
ペット先進国に見る現代の法律の制定は1900年代前半で、改正を重ね現在に至っています。
日本でも遅ればせながら1973年に動物愛護管理法を制定、数度の改正を重ねましたが、2019年の法改正においては大きな進歩が見られました。
改正法では「生育管理基準の具体化」が進められ、数値規制が示されました。これにより、生後8週未満の子犬や子猫の販売禁止が認められたほか、従業員一人当たりの飼育数や飼育環境も具体化されています。
また、虐待の罰則強化、マイクロチップの義務化なども盛り込まれており、実際に悪徳ブリーダーの逮捕などにもつながっています。
これらの内容は、すでに多くのペット先進国では既存のもので、日本の取り組みは数年から十数年の遅れをとっています。しかし、ここから日本も「先進国」への道がつながっていくことが期待できます。
もう一つ、動物愛護を語る上で避けて通れないのが「殺処分」の問題です。
近年、法の改正や自治体のさまざまな取り組みによって、殺処分される犬や猫の数が減少、譲渡率が上昇してきています。札幌市など積極的な取り組みを行い殺処分ゼロを達成している自治体もみられるようになりました。
2012年には飼い主の「終生飼養の義務」が明文化され、安易に行政に引き取りを求めることができなくなりました(理由によっては行政が引き取りを拒否できるようになる)。その結果、殺処分の数は15年前の16分の一まで減少してきています。
環境省の統計(2020年度)によると犬・猫の殺処分数は以下の通りです。
保護数(頭) | 返還数(頭) | 譲渡数(頭) | 殺処分(頭) | |
犬 | 27635 | 9463 | 14736 | 4059 |
猫 | 44798 | 255 | 25130 | 19705 |
殺処分に関して言うなら、国単位でその数を把握しているのはおそらく日本だけでしょう。
日本はなぜペット後進国なのか?
法における動物の捉え方は以下の通りで、ヨーロッパでは一歩踏み込んだ捉え方をしているのがわかります。
日本 :動物は命あるもの
EU全体 :感受性のある生命存在
フランス:動物は人間と同じく感覚のある存在
ペット先進国と言われる国々と日本の違いは次のようなものがあると考えられます。しかし風土や環境、経済、宗教や死生観の違いなどなど、一概に何が正しいかは判断できないかもしれませんが「動物愛護」の観点からピックアップしてみました。
・動物保護の法律の厳しさ(動物に係る人々の自覚・とりしまり)
・シェルター、施設の充実(不幸なペットをなくする)
・ブリーダーも免許制(営利目的のやみくもな繁殖を禁止)
・ペットショップで動物の陳列販売をしない(動物愛護の観点・衝動買いを防ぐ)
・しつけ(犬と人が共存するためのもの)
・ペットフード製造に関する厳しい規定(安全なペットフード)
次に、これらのことをもとに、ペット先進国の取り組みをご紹介します。
ペット先進国8選
ペット先進国の定義やランキングは正式には公表されていません。しかし「動物の命と存在を尊ぶ国」が一口で言うと「先進国」ではないでしょうか。以下の国々は世界的にも秀でた取り組みがなされています。
先進国に共通する取り組み
・子犬のうちに、きちんとしつけをする。
・保護施設が充実している。
・ペットのための「法律」があり、取り締まりも行われている。
・ペットショップでの生体の陳列販売は禁止、もしくは自主的に販売はしない。
・8週齢規制
・マイクロチップの義務化
2020年からはイギリスで、フランスでも2024年からはペットショップでの生体の陳列販売が正式に禁止されました。
ドイツ
「犬大国」と呼ばれるほど、ペット先進国の中でもトップクラスの国で「動物の権利が保護」されています。生活の中に犬がいるのが当たり前となっており、カフェや電車など、ほとんどの場所に犬も入ることができます。公園や道端などに犬の糞処理用の袋やごみ箱が見かけられます。
【犬に関する法令 例】
・1日最低2回、計3時間以上屋外に連れて行かなければならない
・動物救急隊が存在するので24時間いつでも対応
・生後1歳までは室内飼育が義務づけられている。
・犬を屋外で飼育する場合「犬の屋外保有に関する命令」の中で細かい規定が定められている
ペットはブリーダーやティアハイムから迎えます。
ティアハイム(動物の家という意味)は民間の保護施設で、ドイツ国内に約500か所あります。ここから犬や猫を引き受ける場合は、飼育環境などの審査があり、安易な譲渡を防いでいます。保護されたペットは整った環境の中で新しい飼い主さんとの出会いを待ちます。
ドイツでは殺処分は禁止されている(病気やけがで治る見込みのない場合、動物福祉の観点から獣医師の判断で安楽死が選択されます)ので、ずっとここで過ごすこともできます。
【ペットフードへのこだわり】・・・食の安全にも配慮
・ペットフードの原料はすべて人が食べられる基準のものを使う
・ペットフードに合成添加物を使用しない、遺伝子組換えの食材を使用しない
・ペットフードはEU法の規則に従い製造する
・FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)に加盟している団体があり、規則に従っている
イギリス
イギリスには「ペットを保護し大切にする為の法令」が70以上もある動物愛護の先進国です。愛犬家の多い国で、公共交通機関やカフェなど、ほとんどが犬と一緒に入ることができます。
2020年「ルーシー法」(動物の繁殖販売法)が可決されことも注目を集めました。「子犬及び子猫をペットショップやその他の動物取扱業者など、ブリーダー以外の第三者が販売することを禁止する」法律で、パピーミルを撲滅するための新法です。
この法律は、かつて繁殖犬だったキャバリア・キングチャールズ・スパニエルの名前を取って、通称「ルーシー法」と呼ばれている。
「ルーシー」は劣悪な飼育環境下で何度も子犬を産まされ、てんかんの発作も患って5歳で繁殖犬を引退。保護された時は、お尻の毛が固まり、背骨は曲がり、被毛が所どころ抜けるなどひどい健康状態だったが、新しい飼い主のもとで治療を受け、幸せな時間を過ごしたそうだ。
引用:Response
【保護施設】
オーストリア
オーストリアは隣接するドイツと歴史的にも関係が深く、ドイツ同様ペット先進国として名高い国の一つです。
【保護施設】
飼い主を失った動物たちは「アニマルシェルター」と呼ばれる保護施設に収容されます。
そこでは生活のケアを受けながら、期限なく新しい家族を待つことができます。動物の殺処分施設はありません。
シェルターでは様々なケア(病気の手当・マイクロチップ・避妊や去勢・ワクチンなど)を行った上で飼い主探しを行っており、費用もかかるため、シェルターから譲り受けるペットは有料です。引き受けるには条件もあり安易な引き受けを防いでいます。
また、2017年より公の場(インターネット・新聞・スーパーなど)での里親募集が禁止されました。つまり、口伝て・保護団体・獣医師や動物病院を通じてのみが可能ということになります。
オーストリアには「動物の権利法」があります。
・ドーベルマンのしっぽを切ることを禁止
・サーカスに野生動物を出演させることを禁止 など。
また、鶏を狭いケージで飼ってはいけない、牛をロープできつく縛ってはいけないなど、牧畜では当たり前とされていた動物環境へも言及しており、動物の権利法は非常にユニークな法律といえるでしょう。
スウェーデン
スウェーデンはペット保険の加入率が世界一位。それだけペットの健康に対する意識が人と同じように高い国です。
実は犬の飼育率はあまり高くありません。その理由はペットを飼うということの責任感にあります。この国ではペットを飼うということは「とことん面倒をみて、とことんつきあう」ということになります。多くの人はアクティビティや狩などを一緒に楽しんでいます。
また賃貸住宅を借りる場合、ほとんどはペットと生活を共にすることに許可は必要ありません。
【犬の迎え方】・・・ブリーダーから迎えます。ペットショップや保護施設はないのが特徴です。子犬を迎える際にはブリーダーの審査があり、断られることもよくあります。飼育環境や散歩の回数など細かい規定があり、飼うことのハードルも高くなっています。
ブリーダー側も登録するには動物愛護法に基づき、飼育環境を中心に細かい規定があります。収入はあまり期待できずホビーブリーディングが多いようです。
ちなみに、マイクロチップに飼い主情報が登録されており、スウェーデンのケンネルクラブに管理されています。迷い猫や犬は警察などに連絡し、飼い主を探しますが、見つからない場合は保護されWebサイトを通じて販売されます。購入希望者は自治体等が身元調査や飼育に適しているかなどを調査後引き渡されます。飼い主が見つからない犬は少ないようですが、猫の場合「カットヘム」という保護施設に保護されることもあります。
【ペットをとりまく法律 など】
・社会的な接触を与えること
・トレーニングを受けるのが一般的
・犬が同伴可能な電車車両がある
・犬と同伴可能な職場が多い
・犬の託児所がある
ニュージーランド
ニュージーランドは穏やかな気候が心地よく、大自然が広がっています。かつてイギリス領であったこともあり、動物愛護の意識の高いヨーロッパとつながりの深い国です。
緑豊かなこの国では犬のオフリードで過ごせる公園もたくさんあります。「呼び戻しできないなら犬を飼う資格なし」と言われているくらい、子犬のころからしつけはしっかりとなされています。
世界で最も厳しい食品安全管理体制があり、定められているペットに関する法律には「ペットの健康的な暮らしを守るためのもの」だけでなく、「人間とペットが共存して暮らしていくために守る必要があるもの」という視点が含まれています。
地域差がありますが、一般的な法令の一部をご紹介します。
・ペットには十分な食事、水、住まいを与え、常に監視下に置く
・ペットに必要なだけの運動をさせる
・歩道や子供の遊び場などでは犬をリードに繋ぐ
・犬の排泄物は飼い主が必ず処理をすること
【ペットを迎える方法】・・・ブリーダー登録簿で信頼できるブリーダーを探すか動物保護団体SPCA(動物逆害を防止するための非営利組織で里親探しもしている)から引き取る形になります。
スイス
世界ではじめて動物保護法が定められた国でもあり、最も厳しい動物保護法を設けている国の一つです。動物のメンタルを一番に考えておりペットを「家族の一員」という考え方から脱却して「社会の一員」との認識がとても強い国です。
憲法のレベルで動物の尊厳を定めているのはスイスだけです。
スイスの動物保護法では「動物を扱うときは動物の尊厳、つまり動物の生来の価値を尊重しなければならない」と定めています。集団で生きる生き物(鳥、馬、ウサギなど)は複数で飼育しなければなりません。
日常の風景に目を向けると犬が当然のように電車に乗っています。カフェやレストランも入ることができ一流ホテルもほとんどが犬と一緒に宿泊することができます。街中には緑のゴミ箱(ペットの糞入れ専用)が設置されており、糞を入れる袋も置いてあります。
以前は犬のしつけが法律で定められていましたが、今は法律がなくても進んでドッグスクールに通う人が多いので廃止されました。
・犬を飼うには資格が必要(講習・試験)
当然家畜にも動物保護法が当てはまるので、ホルモン剤などを投与した無理な育て方はしません。
スイスではペットの食事も人と同じようにバランスよく調理するのが当たり前になっており、ドッグフードによく見られる総合栄養食という言葉はあまり使わないそうです。
フランス
フランスでは、ペットがいるという理由で賃貸住宅も入居を拒否されません。また電車などにも乗ることができ、カフェ、レストランなどにももちろん入れます。
動物虐待を処罰するための法律があり「犬や動物は人間と同じで感覚のある存在」と定義され、虐待は通常の「刑法」で処罰されます。
近年注目を集めているのは、2021年11月、動物の扱いに関する法律の改正案を可決したことです。
・ペットショップなどで犬や猫の販売を禁止する(2024年より実施)
・動物のショーケースでの展示を禁止する
・インターネットで一般の人が犬や猫の販売を行うことを禁止
フランスでは「ペットを捨てる」ことが大きな問題になっています。ペットショップなどで衝動買いをして、面倒を見られなくなったら捨てる、という悪循環を断ち切るための法令です。
動物保護団体によると、毎年10万匹もの犬や猫などが捨てられているそうです。フランスでは多くの人が、夏に数週間単位で休暇を取ります。バカンスの先に連れて行きにくいなどの理由で、ペットを手放す飼い主がいると推測されています。日本では考えられないことでしょう。
オーストラリア
豊かな自然に恵まれ数多くの野生動物が生息している国です。また、イギリスからの移民が多く、犬のしつけやトレーニングに関する意識も高く、休日には公園などいたるところでしつけ教室が行われています。
また、オーストラリアはシェルター大国でもあります。実際の様子はAnimal Travelerで紹介されています。
【オーストラリアにおけるペット諸事情】・・・州によって異なるものもあります。
・フンの後始末をしないと罰金
・決められた区域以外のノーリード罰金
・動物に対しての悪質行為を取締るアニマルオフィサーがいる
・ペット同伴OKのカフェが多い
・犬の負担を減らすため断耳・断尾は禁止
・殺処分のハードルは低い 噛んで危害を加えるような犬は殺処分
ペットフード先進国でもあるドイツやスウェーデンでも人気のペットフードを紹介
ペット先進国ではペットの食にもこだわりをもっています。ペットも当然、健康のために安全で必要な栄養を取ることが必要です。
そのためには、人と同じ基準で「食」を考えることが大切でしょう。
犬の食事の中心であるドッグフードは愛犬の体を作ります。そのため厳選された肉が使われたものを選びましょう。
原材料や製造・保管方法が人間の食べ物と同じように管理されているヒューマンクオリティのものだと安心です。
補足:ドッグフード先進国ドイツで認められたドッグフード
テラニカスが作られているドイツは世界随一のペット先進国といわれています。
そんな国だからこそペットフードの規制は厳しく、しかしながら飼い主は安心できるものとなっています。
・いわゆるヒューマングレードの人間が食べることができる原料で作らなければならない
・当然人工着色料や人工保存料、人工香料、遺伝子組み換え食べ物などはいっさい使用してはいけない
・オーガニックのペットフードが多い
ヒューマングレードであることと添加物を使用してはならないことは法律で決められています。
さらにドイツは最も厳しいと言われるEU規則に従わなければいけません。そのためドッグフードの品質の良さは折り紙付きです。
EU規則には世界最高の動物福祉基準があり、40年以上にわたって動物福祉を提唱しています。
そのため世界最高の動物福祉基準のいくつかを備えたグローバルリーダーとして広く認識されています。
一方ペット後進国である日本は、ドッグフードは雑貨として扱われています。ヒューマングレードも添加物も企業努力次第です。
このように日本とドイツではペットに対して国としての考え方が違うことがわかります。
ペット先進国であるドイツの厳しい基準をクリアしたテラニカスのドッグフードなら安全だといえます。
よくある質問
日本のペットフードは安全なのでしょうか?
動物の虐待を見かけたらどこに連絡すればよいのでしょうか?
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
【ペット先進国とはどんな国?日本が後進国と言われる理由は何?】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・ペット後進国と言われる日本の現状と取り組み
・ペット先進国8選