犬の膵炎の治療費はどれくらいかかる?原因や症状についても解説!
犬の膵炎とは、膵臓が炎症を起こしている状態です。症状は下痢や嘔吐、腹痛、発熱などが起こります。治療費は軽症の場合で2~3万円程度、重症の場合は10万円以上の金額になります。
この記事では
・膵炎になりやすい犬種・年齢
・犬の膵炎の治療費
犬の膵炎とは?
犬の膵炎とは、膵臓が何かの原因によって炎症が起こっている状態です。
膵臓には、食べ物の消化と血糖値の調整の2つの役割があります。
膵炎には急性と慢性の2種類あり、急性膵炎は、膵臓内の消化酵素が急に活性化し、膵臓自体を消化してしまい炎症を起こします。
慢性膵炎は、少しずつ膵臓に炎症が起こることで、膵臓が硬くなってしまう病気です。
膵炎の症状
膵炎の症状は、急性と慢性により異なりますが、主な症状は似ています。
主な症状
・嘔吐
・発熱
・下痢
・食欲不振
・腹痛
・脱水
急性膵炎
急に激しい腹痛を起こし、発熱や激しい嘔吐、食欲不振などの症状が見られます。
お腹の痛みによって、抱っこや腹部を触った時に、キャンと鳴くこともあります。
また、犬は腹痛時に、背中を丸めておなかを抱えるようにしたり、お尻を上げて前足を床に付ける「お祈りのポーズ」と呼ばれる姿勢になることがあります。
重症になるとショック状態や呼吸困難の症状が見られ、早急な処置をしなければ、死に至るケースもある恐ろしい病気です。
最初の症状が軽くても、短時間で重症化することもあり注意しなければなりません。
慢性膵炎
慢性膵炎の場合、急性膵炎に比べ程度は軽いですが、嘔吐や下痢などの症状が長期にわたって起こり、食欲が低下し元気もなくなります。
下痢が原因で、脱水症状となり体重の減少も見られます。
慢性膵炎は、他の消化器疾患との症状が似ているため、区別がつきにくいです。
慢性膵炎が悪化すると、強い腹痛、体温の低下、黄疸などの症状が現れるようになります。
膵臓の炎症が深刻化すると、血糖を下げるインスリンの分泌ができなくなり、糖尿病を併発することもあります。
また、急性膵炎を繰り返し起こし、慢性膵炎へと移行するケースもあります。
ドッグフードやささみなどの食事、おやつも関係する?膵炎の原因
膵炎の原因は、はっきりした原因は不明ですが、主に以下のことが原因として挙げられます。
・肥満
・内分泌の疾患
・薬剤
高脂肪の食事・肥満
明かな関連性は分かってはいませんが、脂肪分の高い食事を食べたことによって急性膵炎になることが多いです。
食卓に置いてあった食べ物やゴミ箱に入っている残飯を食べてしまって、急性膵炎を起こすケースがあります。
また、高脂肪な食事やおやつを食べ続けた結果、肥満となり膵炎となることもあります。
内分泌の疾患
内分泌の疾患は、ホルモンをつくりだす器官のいずれかに不具合が起こり、急性膵炎のリスクを高めます。
・甲状腺機能低下症
・糖尿病
・高脂血症
上記の病気を患っていると、急性膵炎を引き起こす可能性があるので注意しましょう。
その他にも、心臓病や腎臓病との併発として起こる場合もあります。
薬剤
抗がん剤や、ステロイド剤、利尿剤などの薬剤が原因となる可能性もあります。
また、腹部の外傷や手術、麻酔による膵臓への血流の低下によって膵炎を引き起こすことも考えられます。
新薬って何?膵炎の治療法を紹介
・輸液療法
・投薬(制吐剤、鎮痛剤、制酸剤など)
・絶飲絶食(症状によって早めに解除)
・低脂肪食への切り替え など
軽症であれば、皮下点滴や注射、あるいは内服薬を処方して通院になります。
症状に応じて、抗生物質、痛み止め、吐き気止めなどを用います。
ただし、膵炎は急に悪化することも多く、翌日以降から約1週間はこまめな通院と細かな観察が必要です。
重症な急性膵炎の場合は、入院して獣医師の管理下での治療となります。
重症であればあるほど、急性腎不全や糖尿病などの合併症を起こす危険性が高く、それに対する治療も行います。
激しい嘔吐が伴う時は、絶食によって一時的に膵臓を休めます。
ただし、嘔吐の症状があっても全身の健康状態によっては、早めに栄養を摂った方がいい場合もあります。
その時は、空腸にチューブを設置し、流動状の栄養を摂るようにします。
嘔吐がおさまったら、膵臓を刺激しないような低脂肪食への切り替えを行います。
以前は膵炎の治療は絶食が基本でしたが、最近では早めに給餌を開始したほうが回復が早いことが分かっています。
食事の管理
食事の内容や量、回数などは獣医師の指示に従って与えましょう。
基本の食事は、低脂肪のドッグフードを与えます。
ただ、犬によってはドライフードだけだと食べないこともあります。
その場合、茹でたささみやりんごなどをトッピングに加えるのもいいでしょう。
ただし、病状によっては食べられないものや食事の制限があるので、かかりつけの獣医によく相談して与えるようにしてください。
膵炎は、一度発症すると治っても膵臓へのダメージが残っているため、再発がとても多いことが特徴です。
そのため、その後の自宅での食事管理がとても重要となります。
膵炎のための新薬
膵炎は長い間、特効薬となるものはありませんでしたが、2018年に「ブレンダZ」という、膵炎のための抗炎症薬が出て治療に使われるようになりました。
ブレンダZは、炎症を引き起こす白血球の活動を抑制することで、膵炎の炎症を和らげる効果があるとされている注射剤です。
急性膵炎の初期に5日間連続で、静脈内投与をする薬として使われます。
膵炎の予防法
膵炎の予防法は、高脂肪の食事に気を付け、肥満にさせないことです。
日頃からバランスの良い食事と適度な運動で、肥満にならないように注意しましょう。
高脂肪の食事は極力避けて、人間の食べ物、特に唐揚げや天ぷらなどは絶対にあげないように徹底してください。
犬は、人間が与えなくても、見ていないところで盗み食いをする可能性もあります。
食事を置きっぱなしにしない、ゴミ箱は犬が届かない場所に置くなど対策をとるようにするといいでしょう。
膵炎になりやすい犬種・年齢は?
ここから、膵炎になりやすい犬種と年齢について解説します。
膵炎になりやすい犬種
・コッカ―・スパニエル
・ミニチュア・シュナウザー
・シェットランド・シープドッグ など
上記の犬種は、遺伝的に高脂血症になりやすく、その結果、膵炎のリスクも高くなると考えられています。
ただし、膵炎は上記のような犬に起こりやすい傾向があるだけで、全犬種に発症する可能性があります。
膵炎になりやすい年齢
全ての年齢でなる可能性がありますが、特に中高齢になると発生しやすいです。
膵炎は、クッシング症候群や糖尿病などの疾患があると起こりやすく、基礎疾患が増える高齢になるにつれ、増加する傾向があります。
犬の膵炎の治療費はどのくらい?ペット保険で補償される?
ここでは、膵炎の治療費がどれくらいになるかの目安、ペット保険で補償されるのかどうかを解説します。
膵炎の治療費の例
アニコム白書2019によると、犬の膵炎の治療費で一頭あたりの年間診療費の中央値は56,700円、中央値は203,186円とかなり個体によって治療費が異なることを示しています。
犬の膵炎にかかる治療費は、症状や病院によって異なります。
軽症で入院が必要ではない場合、診察料や薬代を含め、初日の費用は2~3万円程度です。
その後、通院となり1回3,000~8,000円ほどになります。
入院が必要な場合は、入院費用がかかり5~10万円程度です。
さらに重症で、手術をする場合は、10~15万円以上になることもあります。
費用の内訳は、主に入院、検査、点滴、注射、処方などです。入院する日数によっても金額は異なってきます。
ほとんどのペット保険で補償される
犬が膵炎で、入院や手術をすることになると治療費はとても高くなります。
軽症であっても通院をする必要があり、総合的に見ると高額です。
犬の膵炎は、ほとんどのペット保険で補償対象となっています。
ペット保険に加入をしていれば、高額な請求に不安になることなく、愛犬の治療に専念ができるでしょう。
よくある質問
犬が膵炎になってもおやつはあげてもいい?
犬の膵炎の入院期間はどれくらいですか?
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
【犬の膵炎の治療費はどれくらいかかる?原因や症状についても解説!】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・膵炎になりやすい犬種・年齢
・犬の膵炎の治療費