この記事では
・猫の避妊・去勢のメリットとデメリット
・猫の避妊・去勢手術の方法
・猫の避妊・去勢手術の相場
避妊・去勢手術にはお金がかかる!手術費用の相場はいくら?
避妊・去勢手術の値段は動物病院によって異なります。
避妊手術の場合は20,000~25,000円、去勢手術の場合は10,000~15,000円が平均とされています。
ただし、入院の必要があったり検査を追加で行った場合は上記より高くなる可能性があるので、手術前に動物病院に確認するようにしましょう。
また、全てのペット保険で猫の避妊・去勢手術費用は全て補償の対象外です。
猫の避妊・去勢に適した時期はいつから?
猫のメスが行う避妊手術は、開腹して卵巣や子宮を摘出します。
猫のオスの行う去勢手術は、陰嚢を切開して精巣を摘出します。
このような猫の避妊・去勢手術は、発情前の生後6ヶ月以降に行うのが適切です。
まだ子猫ではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、生後6ヶ月は猫の性成熟期でもあるのです。
ただし、猫の体調や成長具合は個体差があります。避妊・去勢手術について獣医師とよく相談するようにしてください。
避妊・去勢手術は必要なの?
猫の発情というのは、繁殖ができないのであればとてもストレスを感じるものです。
発情によるストレスから体調を崩してしまうこともあります。
発情による問題行動を起こすようにもなるため、繁殖目的でなければ避妊・去勢手術を検討することをおすすめします。
猫の避妊・去勢手術のメリット・デメリットとは?
猫の避妊手術にはメリットとデメリットがあります。
両方を良く見比べて、愛猫には避妊・去勢手術をした方がよいのかを検討してみてください。
避妊手術のメリットは?
避妊手術では子宮と卵巣を摘出します。そのため、望まない妊娠を予防できるのが避妊手術の大きな効果です。
その他にも以下のようなメリットがあります。
発情期がなくなる
発情の際に興奮により起こる大きな鳴き声や、体をこすりつける行為などを行わなくなります。
そのため、発情行為によるストレスを感じることや体調を崩すことがありません。
病気を予防できる
避妊手術を行うことで、卵胞嚢腫(らんぽうのうしゅ)や子宮蓄膿症などの生殖器疾患を防ぐことが可能です。
その他にも、性ホルモンの影響を受けにくくなるため、乳腺腫瘍の発生リスクを大きく下げることが期待できます。
乳腺腫瘍はメス猫の死因の中でも多いとされている病気です。
しかし、2歳を超えて避妊手術をしても、乳腺腫瘍の予防効果を得ることはできません。
そのため、避妊手術をするのであれば、できるだけ早期に行う方がよいでしょう。
去勢手術のメリットは?
オス猫は妊娠するわけではないので、去勢手術のメリットが低いと思われる方が多いかもしれません。
しかし、オス猫が去勢手術を行うことで、以下のようなメリットを得られます。
病気を防げる
去勢手術では精巣を摘出します。それにより、精巣腫瘍を防ぐことができます。
また、性ホルモンが関係するとされる前立腺疾患、会陰ヘルニアの発生率も低下させることが可能です。
発情しなくなる
オス猫には発情期はありません。メス猫の発情した声やフェロモンにより反応します。
しかし、オス猫は生後6ヶ月過ぎの性成熟を過ぎると、以下のような問題行動を起こすようになります。
・マウンティング
・発情したメス猫に反応して大きな声で鳴く 等
また、攻撃行動が増えたり、メス猫を求めて脱走しようとする猫もいます。
このような行為は猫のストレスになります。しかし、去勢手術を行えばこのような行為をしなくなり、ストレスを感じることがなくなります。
避妊・去勢手術のデメリットは?
避妊・去勢手術は全身麻酔で行われます。全身麻酔は全くリスクがないとは言えません。
しかし、避妊手術は良く行われる手術ですし、病院では安全に手術ができるように十分チェックをして行います。
そのため、他の手術と比べればリスクは低いといえます。
手術におけるリスクについて担当の獣医師に事前によく確認しておくようにしましょう。
太りやすくなる
子宮や卵巣、精巣を摘出するとホルモンバランスが変化します。そのため、代謝が落ちて太りやすくなります。
食事の量を避妊・去勢手術前より減らすなど対応が必要です。
猫の避妊・去勢手術はどんなことをするの?
猫の避妊・去勢手術はどのように行われるのでしょうか。ここでは手術の流れや処置についてご紹介します。
麻酔のリスクとは
避妊・去勢手術では全身麻酔で行われます。麻酔なしで手術は行われません。
麻酔のリスクはゼロではありません。しかし、動物病院では麻酔前に身体検査や血液検査などを行い、麻酔をしても問題ないかを確認してから手術を行います。
検査の結果、麻酔に問題があると判断されれば、手術の日程をずらすこともあります。
もし、手術当日に元気がないなど猫の状態がいつもと違うようであれば、獣医師に手術を行えるのか確認するようにしましょう。
また、手術前日には麻酔による誤嚥を防ぐために絶食を、当日は水分を摂らないようにする指導を受けます。
スムーズに手術ができるように、飼い主さんが十分注意するようにしましょう。
麻酔は麻酔投入薬、麻酔導入薬、麻酔維持薬の3つが使用されます。
心電図や血圧、呼吸数、麻酔ガス濃度、体温などもしっかりチェックしながら手術は進められます。
避妊手術の流れ
麻酔が十分効いてきたと判断されたら、手術箇所のへそから下の部分の剃毛と消毒をします。
その後開腹をし、卵巣のみ、または卵巣と子宮を摘出、開腹箇所を縫合して終了です。
手術自体は約1時間前後で終了します。
去勢手術の流れ
麻酔の処置が終わったら、手術箇所である陰嚢の剃毛と消毒をします。
陰嚢の皮膚を切開し、睾丸を摘出します。縫合処置を行わない病院もありますが、自然に癒合されます。
縫合しなくても癒合が早いため、その後の生活は特に問題なく過ごすことが可能です。
去勢手術は約30分前後で終了します。
手術後の処置は?
手術後、麻酔から覚醒したら、猫の状態を細かく確認します。問題が無ければ、部屋も手術室から入院室に移動です。
その後は呼吸状態や心拍などに問題が無いか、補助なしで立つことができ、歩けるようになるまで管理されます。
この時、麻酔から覚めたことによる精神状態の変化や疼痛があるかどうかを十分に確認されます。
数時間~半日病院で様子を見て、特に問題が無ければ日帰りで退院可能です。
病院によっては開腹手術をしたメス猫は1日入院になることもあります。
猫が縫合跡を舐めないように、エリザベスカラーや術後服を着て退院になることが多いです。
退院時には抗生物質などの薬が処方されます。
手術で縫合を行った場合、抜歯は一週間後に行うことが多いです。
猫の避妊・去勢手術後の家での過ごし方
猫の避妊・去勢手術が終わって帰宅したら、以下の事柄に気を付けるようにしましょう。
安静に過ごす
避妊・去勢手術のあとは落ち着ける場所で静かに休ませてあげてください。
もしも部屋の隅に隠れるなどしても、そのまま落ち着くまで見守ってあげてください。
抗生物質は処方された量をきちんと飲ませるようにしましょう。
エリザベスカラーや術後服を気にすることがあります。ストレスになるようであれば、飼い主さんが猫をしっかり確認できる状態で外すのもよいでしょう。
エリザベスカラーや術後服を外している間は傷口を舐めないように十分注意してください。
再度エリザベルカラーや術後服を着せることが難しい場合は、そのまま付けておいた方が良いです。
エリザベスカラーは布製のものも販売しているので、そちらに変更するのもおすすめです。
術後1週間ほどで傷口も治ってくるので精神的にも落ちついてきます。
それまでは環境を変えず、家でゆっくり過ごせるようにしてあげてください。
食事は少しずつ与える
絶食や水分を摂っていないのですぐにあげたくなる気持ちになりますが、少量のご飯を時間をおいてあげるようにしましょう。
一定時間空腹時間が続いた後に一気にご飯を食べると嘔吐することがあります。
同じように水の量も少しずつ増やし行くようにしてください。
食べたり飲んだりした後に、むせたり吐いたりしていないか確認するようにしましょう。
食事の種類はいつもと同じで問題ありません。ただし避妊・去勢前と同じ量を食べさせると太ってしまうので、餌の量の管理をきちんと行うようにしましょう。
避妊・去勢手術後の体調の変化に注意しよう
避妊・去勢手術後の猫の様子によっては動物病院の受診や治療が必要になることもあります。
飼い主さんは猫の術後の経過に十分注意するようにしましょう。
猫の状態が何かおかしいと感じた場合は、様子を見るのではなく動物病院に連絡をし、受診などの指示に従うようにしてください。
体温
手術後は体温調整が上手くできないことがあります。体温が低下いて震えることもあるので、暖かく過ごせるようにしてあげてください。
体温の低下があっても1日程度でおさまります。温めても長い時間震えていたり体温の低下が著しい場合は、動物病院に連れて行ってあげてください。
痛みで震えることもあります。あまり眠れていない場合も動物病院に相談するようにしましょう。
意識がなく震えている場合はけいれんである可能性もあります。
また、術後数日たってから傷の違和感で後ろ足を伸ばして震えることがあります。
排泄の様子
避妊・去勢手術はお腹にある臓器の一部を摘出する手術です。術後に排泄がスムーズにできていれば、他の臓器に問題が無いことが判断できます。
排泄は体調に問題が無いかどうかを判断する1つの材料でもあります。
排泄の様子や尿や便の状態がいつもと違う場合は、すぐに動物病院に連絡をしましょう。
動物病院を受診する場合は、尿や便を持参することをおすすめします。
食欲や元気
避妊・去勢手術後は手術の怖さや術後の痛みなどで元気や食欲が無くなることがあります。
多くの場合は術後1~2日で元気になり食欲も復活してきますが、3日以上たっても元気ない状態であったり、食事を食べない場合は注意が必要です。
動物病院に連絡をし、受診するようにしましょう。
猫が避妊・去勢手術をすることで長生きする?
アメリカの大手動物病院が発表した統計データによると、避妊手術を受けたメス猫は39%、去勢手術を受けたオス猫は62%長生きしていることが判明しています。
しかし、長生きするかどうかはは生活環境などによっても大きく変わってきます。避妊・去勢手術をしたからと言って必ずしも長生きするとは限らないのです。
ただし、病気のリスクが減ることや発情のストレスがない方が長生きする可能性は高いのかもしれません。
猫の避妊・去勢費用の自治体による助成について
自治体によっては猫の避妊・去勢手術に助成制度を設けていることがあります。
ただし、自治体によって条件はさまざまです。飼い主のいない保護猫や野良猫だけの場合や、飼い主がいても条件をクリアすれば助成を受けられる場合もあります。
自分の住んでいる自治体がどのような助成制度を行っているか、ホームページなどで確認してみてください。
よくある質問
ワクチンの接種と去勢・避妊手術を同時に受けても大丈夫ですか?
避妊・去勢手術を行うと猫の性格が変わるって聞いたけど本当ですか?
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
【猫の去勢・避妊手術の費用はいくら?予後の食事やワクチン等も解説!】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・猫の避妊・去勢手術のメリットは発情を無くせることや病気を防げること
・猫の避妊・去勢手術のデメリットは麻酔のリスク
・猫の避妊・去勢手術の流れ
・猫の避妊・去勢手術の後は安静に過ごし、おかしいところがあればすぐに動物病院に連絡をする
・猫の避妊手術の相場は約20,000円、去勢手術の相場は約10,000円