・猫が耳の病気になったときに取る行動
・動物病院に連れて行く基準
猫がかかりやすい耳の病気は?
猫が耳の病気にかかるとどんな症状が出るのでしょうか。
【症状から見分ける耳の病気】
症状 | 検査 | 病名 |
耳をかゆがる・頭を振る | 耳鏡検査 耳垢検査 |
アレルギー 外耳炎 |
耳の内側が赤い | 耳鏡検査 耳垢検査 |
耳ダニ症 細菌性外耳炎 マラセチア性外耳炎 アレルギー性外耳炎 |
耳の外側が赤い | 皮膚検査 | アレルギー性皮膚炎 アトピー性皮膚炎 など |
耳の中が腫れている | 耳鏡検査 レントゲン検査 CT検査 |
耳道閉塞 慢性的な外耳炎 慢性的な中耳炎 慢性的な内耳炎 |
耳の中のできもの | 耳鏡検査 レントゲン検査 CT検査 |
ポリープ 腫瘍 |
耳介が腫れている | 触診(ぶよぶよしている) 針生検(内容物の確認) |
耳血腫 |
耳が臭う・耳垢が多い | 耳垢検査 (細菌・耳ダニ・酵母) |
細菌性外耳炎 耳ダニ症 マラセチア性外耳炎 |
耳(頭)を傾ける | 耳鏡検査 レントゲン検査 CT検査 |
中耳炎 内耳炎 神経疾患 など |
鼓膜より奥側は外から見えないため、必要に応じてレントゲンやCTなどの画像検査を行います。
・耳を地面や柱などにこすりつける
・耳や耳の後ろ、首の辺りを後ろ足で引っかく
・頭を頻繁に振る
・痛みやかゆみのある耳を下にして頭を決まった方向に傾ける
・機嫌が悪い、イライラしている、攻撃的
・音や呼びかけへの反応が鈍くなる
・ひっかくため耳の付近の脱毛やひっかき傷がある
外耳炎
耳介(耳のひらひらした部分)から鼓膜までの外耳道に、急性もしくは慢性の炎症をおこしている状態です。
何らかの原因がありそれに伴い生じるので症状の一つともいえるでしょう。原因は多岐に渡ります。
【一般的な外耳炎検査と治療法 】
● 耳鏡検査/耳道の観察( 耳垢・赤みや腫れ・脂の線の過形成などをチェック)
● 原因を調べるために耳垢検査/ダニ・マラセチア・細菌など
● 耳洗浄/洗浄液を用いて耳の中の汚れや原因となっているものを洗い流す
● 薬の使用/症状に合わせて耳垢溶解剤薬・抗炎症薬・抗真菌薬・抗生剤などの処方(軟膏・点耳・内服薬など)
再発性・難治性外耳炎の場合は、耳道内視鏡(オトスコープ)を使用する場合もあります。全身麻酔が必要になりますが、より正確な診断や治療が可能です。
【外耳炎を放置しておくと・・・】
耳道が腫れて狭窄をおこす⇒通気が悪くなる⇒耳の中が蒸れる⇒菌やカビが増える さらに耳道が狭くなる…
これらを繰り返す悪循環が生じます。
外耳炎を放置すると中耳から内耳へ炎症が進行し、平衡感覚や回転を感知する神経や顔面神経に影響が出る場合もあります。
頭を傾ける、瞬きができない、瞬膜が突出する、目が回る、などの症状が認められます。
さらに進行して髄膜脳炎を発症すると発作や呼吸の異常などの神経症状を認め、治療が遅れると命に関わる事態となるケースもあります。
耳ダニ症(耳疥癬)
・ミミヒゼンダニの寄生が原因
・症状:強い痒み、外耳道の炎症、黒い多量の耳垢
・検査:耳鏡検査、耳垢の検査(顕微鏡でダニや卵の確認)
・治療:耳の洗浄と駆虫薬の使用
腫瘍・ポリープ
・検査:耳鏡検査、レントゲン、CTなど
・治療:切除
耳血腫
耳介に血腫ができる(風船のようぶ膨らむ)
・原因:耳介軟骨の損傷など
・診断:触診
・治療:血腫の内容物を吸引/切開/内科的治療など
マラセチア外耳炎
症状:強い痒み、茶~黒っぽい耳垢、特有の臭い
診断:耳鏡検査、耳垢検査
治療:原因疾患の治療、耳洗浄、点耳、内服など
アレルギー
猫の耳が赤い場合、耳の中の菌やダニの検査を行い異常がなければアレルギーの可能性があります。
・ノミアレルギー
・アトピーなど
アレルギーの場合は、耳だけでなく顔や皮膚なども赤くなるのが特徴です。
異物混入
耳の中に異物が混入すると炎症を起こす場合があります。
・原因:シャンプー時の水、虫、抜け落ちた毛、大量の耳垢、植物の種子など
・診断:外から確認できなければ耳鏡検査
・治療:異物の除去(その他必要に応じて内服 耳洗浄など)
猫の耳は通気性が悪く病気になりやすい形をしている?
猫の耳は筋肉が発達しており、左右別々に細かく動かせます。
音を聞きたい方向に耳を向けることで、集音器のような役割を果たします。
そして正確に音の出所を聞き分け、獲物の居場所を察知したり危険を回避したり周囲の状況に対処する能力を備えています。
このように優れた聴力をもっている猫ですが、その耳の構造は複雑な形をしており、病気になりやすい形状をしています。
猫の耳は、人と違って外耳道がL字型に折れ曲がっています。
曲がっている付近は汚れが溜まりやすい上に、細菌や耳ダニ、マラセチア等が繁殖しやすい環境になっています。
耳の病気になりやすいとされている猫種
どんな猫種でも外耳炎など耳の病気になる危険性はあります。
外耳炎になりやすい猫種というと「アメリカンカール」の名前が真っ先に出てきます。
耳(耳介)が外側にくるりとカールしている姿は愛らしいのですが、耳の軟骨が厚いため耳道が狭くなっており、他の猫種と比べて明らかに外耳炎のリスクが高くなります。
そういう意味ではアメリカンカールとマンチカンの血を引く「キンカロー(マンチカール)」もリスクは高くなります。
また、スコティッシュフォールドなど耳の垂れた猫種も通気性が悪いことから、外耳炎になりやすい猫種と言えるでしょう。
猫の耳垢がひどい!病気かも…こんな症状ならすぐ動物病院へ
【耳垢の正体は何?】
耳は大きく、外耳・中耳・内耳に分類されます。
耳の入り口から鼓膜の手前までを外耳と言います。
耳穴(外耳道)には皮脂腺と呼ばれる腺があり、皮脂腺からの分泌物が耳の奥に侵入しようとする細菌やほこりなどをキャッチします。
これらが固まったものが耳垢です。
動物病院で診てもらったほうがいい耳の症状
では、猫の耳にどんな症状がみられたら動物病院を受診したらよいのでしょうか。
・頭をブルブル振る
・耳に触れられるのを嫌がる
・耳垢の量が多い
・耳垢の色が通常とは異なる(黒っぽい/黄色っぽいなど)
・耳が赤くなっている
・耳に引っかき傷やかさぶたができている
また、耳が片方だけ垂れている場合はなんらかの耳のトラブルが生じているのかもしれません。
いつもと違うと感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。
猫にとって耳はとても重要な役割をたくさん持っています。
少しくらい、そのうちに治るでしょうという安易な考えは禁物です。
悪化すると化膿して痛みを伴い、治療に時間も費用もがかかってしまいます。
耳の中から臭い汁が出る、黄色や緑っぽい耳垂れが出ている、そんなときは細菌感染を起こしている可能性があります。
また、慢性化したり、中耳や内耳に影響がでると猫は苦痛を伴い、QOLにも影響が出るでしょう。
心配がいらないケース
外耳道の表面の皮膚は外耳道の出口に向かって代謝され、新しい皮膚へ入れ替わります。
新陳代謝が行われるにつれて耳垢は自然と出口に運び出される仕組みになっており(自浄作用)、正常な状態でも耳垢は出てきます。
正常な猫の耳垢は「べたつきがひどくない」「臭わない」「軽く拭うと数日間は汚れが目立たない」状態です。
少し茶色がかった、ねっちょりした耳垢は正常な状態なので心配いりません。
猫の耳の病気を予防するには?
効果的な予防法の一つは、完全室内飼いにすることです。
室内飼いすることで耳ダニの心配はなくなりますし、異物が耳の中に入り込む危険性も少なくなります。
そして、日常的に耳の状態を確認して、その猫の普段の状態を飼い主さんが知っておくことが重要になります。
正常な状態でも耳垢は溜まります。
耳垢が見えたらガーゼやコットンで優しく拭き取りましょう。
猫の耳の中の皮膚は薄くてデリケートなので、力を入れすぎないように注意しましょう。
【やってはいけない耳の手入れ】
基本的に耳には自浄作用があり、溜まった汚れは押し出されてきます。
気が付いたら耳垢を拭き取る程度にとどめておきましょう。
耳の中を清潔に保つことは必要ですが、耳掃除をするときは次の点に注意してください。
・目視できない範囲は触らない
・綿棒は使用しない
・耳の中に湿気をいれない
アメリカンカールの耳介を引っ張ることは厳禁です。
耳介の軟骨を損傷する場合があります。
ネットで検索すると「耳のお手入れ方法」がたくさん出ていますが、耳掃除は表面に出ている汚れをぬぐう程度にとどめておくことをおすすめします。
猫の耳垢が気になる方は、動物病院で相談して数カ月に1回程度耳掃除をしてもらいましょう。
猫の耳の病気はペット保険の補償対象
猫の耳の病気でごく一般的にみられるものに外耳炎があります。
耳垢が多い、耳の中が臭いときには、早めに動物病院の受診をお勧めします。
猫の耳の病気は、ペット保険の補償対象です。
早期であれば治療費も少なくて済みますし、ペット保険に加入していれば補償割合に応じた治療費を補償してもらえます。
耳の病気は放置しておいて治る可能性は極めて低く、一時的に治ったように見えても再発して慢性化する場合が多く見受けられます。
ご家庭に猫を迎えたら、同時にペット保険の加入を検討しましょう。
よくある質問
猫の耳ダニ症と疥癬(かいせん)は違うのでしょうか。また人間に感染するのでしょうか?
一方「疥癬」は、ショウコウヒゼンダニの寄生が原因で、皮下に潜り込んで棲息するため感染場所を特定するのは簡単ではありません。猫では耳介の先や顔面に多く見られます。疥癬は人にも感染する場合があるので注意が必要です。
子猫にも耳掃除は必要ですか?
ペット保険は必要?
ペットには公的医療保険制度がありません。そのため診療費の自己負担額は100%です。
もしものときに、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
【猫の耳の病気に注意!飼い主さんに知ってほしいポイントを解説】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・猫が耳の病気になったときに取る行動
・動物病院に連れて行く基準・箇条書き