この記事では
・犬の目が充血している時の自宅での対処法と応急処置
・目の健康を守る予防策
「犬の目の充血」とは
犬の目の充血とは、さまざまな原因により血液の量が増え、普段は見えないほどの細い血管が拡張することで目が赤く見える状態のことです。原因として、砂や花粉が目に入った可能性やアレルギー、角膜炎や結膜炎などの目の病気などが考えられます。また、興奮やストレスなどで一時的に目が充血することもあります。
【犬の目の充血】考えられる原因
ここから、犬の目が充血している時に考えられる原因について解説します。
異物の侵入や物理的なダメージ
犬の目が充血している時に、まず考えられるのが異物の侵入です。
目の中に異物が入ったままの状態で放っておくと目の充血につながってしまいます。
日常生活の中で砂や花粉、虫などが目に入ってしまうことはよくあることです。
涙と一緒に流れてしまえば問題ないのですが、気にしてこすってしまったり、涙を流しても取れないと充血してしまうことがあります。
また、落下や衝突などによる頭部への強い衝撃や外傷などの物理的なダメージで、白目が赤くなることもあります。
感染症や炎症
ウイルスや細菌、寄生虫の感染による感染症が原因となり、結膜炎や角膜炎を引き起こすことがあります。
結膜は白目とまぶたの裏側、角膜は黒目の表面のことで、これらの部分に炎症が起こって充血が起こります。
結膜炎の場合は白目が赤く充血し、角膜炎の場合は黒目が赤く充血するのが特徴です。
アレルギー反応
アレルギー反応によって、犬の目が充血している可能性も考えられます。
犬のアレルギーの原因は、ハウスダストやノミ、カビ、食べ物、花粉などです。
犬がアレルギーになると、主な症状に皮膚炎が見られ、強いかゆみを伴います。
目の周りの皮膚に炎症を起こると、目の周りが赤くなったり目をしきりにこするなどして、結膜炎を引き起こし充血が起こります。
眼圧の上昇による病態
犬の目が充血している時、眼圧の上昇によって視神経に障害が生じる緑内障の可能性もあります。
緑内障は、眼圧の上昇に伴い、強膜(白目)の血液がうっ滞することで充血が起こります。
緑内障は視力異常や失明の恐れがあるので、なるべく早い段階で治療することが重要です。
重度の疾患の可能性
犬の目が充血している時、重度の疾患の可能性もあります。
充血の原因に、以下のような病気が考えられます。
ぶどう膜炎:目の内側の層であるぶどう膜の炎症です。充血の他、涙が出る、瞳孔が小さくなるなどの症状があり、痛みや視力の低下を引き起こします。
角膜潰瘍:角膜とは目の表面にある透明の膜のことで、角膜に傷がつくことで起こります。症状は、炎症による充血、涙や目やにの増加、目の痛みを引き起こします。
眼内腫瘍:眼の中に腫瘍ができることで黒目の中が赤くなることがあります。その他に、目が白く濁る、眩しそうに目を細めるなどの症状が見られます。
充血の症状が軽くても、重篤な状態の可能性もあるので、早めに動物病院で診てもらうことが大切です。
【犬の目の充血】警告サインと症状
犬の目が充血しているだけでなく、その他にも症状が見られる場合は注意が必要です。
ここでは、目の充血とよく一緒に見られる症状について解説します。
目やにや涙の増加
目の充血の他に、目やにや涙の増加が見られたら、なにかの異常や病気が隠れている可能性があります。
正常な目やには白や茶色で、1日に数回ほど拭き取れば済む量です。
目やにや涙の量が明らかに増え、色やにおいがいつもと違うなど変化があるときは、注意が必要です。
・角膜炎
・結膜炎
・眼瞼内反症、外反症
・アレルギー
・ドライアイ
・逆さまつげ
目の赤みや腫れ
目が赤くなって腫れている症状が見られたら、チェリーアイの可能性があります。
チェリーアイは、犬の目頭にある瞬膜と呼ばれる3番目のまぶたの涙腺が腫れ、飛び出してしまった状態のことです。
正式名称は「第三眼瞼腺脱出(だいさんがんけんせんだっしゅつ)」と言い、見た目がさくらんぼの実のようなことから、通称チェリーアイと呼ばれています。
チェリーアイは自然に治ることはなく、放っておくと炎症や腫れがさらに悪化し、角膜炎やドライアイを引き起こします。
先天的な要因で起こると言われていて、ほとんどは1歳未満の子犬で発症します。
・キャバリア・キング・チェールズ・スパニエル
・アメリカン・コッカー・スパニエル
・ブルドッグ
・フレンチ・ブルドッグ
・パグ
・チワワ
・ビーグル など
チェリーアイに似た病気で、第三眼瞼の腫瘍や、第三眼瞼腺の腫瘍があり、その場合は高齢犬でよく見られる病気です。
もし高齢犬で目の赤みや腫れがある場合は、腫瘍かどうか検査する必要があります。
行動や食欲の変化
目に痛みや不快感があるため、犬は目を気にしてかいたり、目をしっかり開けることができず、しょぼしょぼしていることがあります。
犬が目を触ると、症状が悪化してしまう恐れがあるので、目をいじらせないようにしましょう。
自分で目をさわらないよう、抱き上げたり、自宅にエリザベスカラーがあれば着けるなどしてください。
また、眼圧が高いと頭や目の痛みが強くなり、顔の周辺を触られるのを嫌がることがあります。
痛みによって元気がなくなり、食欲がなくなることもあるでしょう。
行動や食欲に変化が現れたら、愛犬のためにもできるだけ早めに動物病院へ連れていくことが大切です。
【犬の目の充血】自宅での対処法と応急処置
目のトラブルは放っておくと失明につながることもあります。
原因が分からなかったり明らかに元気がない、目がショボショボしている、ずっと目を気にしている時は早急に動物病院で診察を受けてください。
ここでは、犬の目の充血が一過性のことで、心配のない場合の対処法と応急処置の方法について解説します。
安静にする
犬は興奮したり緊張したりすることで、一時的に目が赤く充血することがあります。
その場合は、犬は目を気にすることがなく、食欲や元気もいつも通りで特に心配いらないケースです。
目の充血以外に気になる症状がなく、安静にしていればすぐに赤みがおさまるようなら、自宅で様子を見ても問題ありません。
目薬を使用する
ゴミや毛などの異物が目に混入している場合は、犬用の目薬を使って洗い流します。
人間用の目薬は、犬には刺激が強いことが多いので使用しないようにしましょう。
動物用として市販されている無添加の人口涙液が安心です。
少量の水道水を数滴垂らし、まぶたを優しく開閉してコットンなどで軽く拭き取る方法もあります。
無理に取ろうとすると逆に目を傷付けてしまうので、難しい場合は動物病院で処置してもらってください。
清潔な環境を維持する
今後の予防のためにも、愛犬の生活スペースは清潔な環境を維持することが大切です。
犬の顔は被毛に覆われていて汚れがつきやすく、目に異物が入りやすいです。
目のトラブルを防ぐためにも、普段から清潔なタオルなどで顔を拭いてあげるといいでしょう。
目やにや涙なども毎日チェックしてあげることで、異変があった時にすぐに気付いてあげられます。
【犬の目の充血】獣医による治療と相談のタイミング
ここでは、犬の目が充血をしている時どういった治療をするのか、どのような症状の時に獣医に相談に行けばいいのかを解説します。
治療オプション
犬の目が充血している時、原因や病気によっても治療は異なります。
結膜炎・角膜炎:一般的な治療は、まず目をきれいに洗い、抗生剤や消炎剤の点眼薬の投与です。必要に応じて内服薬を併用します。
緑内障:視覚が残っている場合は、視覚を維持するための目薬や飲み薬を用います。また、注射や点滴などで眼圧を下げる治療を行います。外科的治療によって眼圧を下げる方法もあります。
ぶどう膜炎:原因となる疾患の治療に加え、消炎剤、抗生剤、ステロイドなどの点眼薬の投与、また、炎症を抑えるためのステロイド剤などの内服薬治療が主になります。
症状の持続や悪化時
犬の目が充血している時、ただの炎症で、症状が軽いものであれば1週間程度で自然治癒するケースもあります。
ただし、重症の場合で無治療でいるとまぶたの腫れ、炎症、かゆみや痛みがひどくなるので注意が必要です。
悪化すると、視覚障害や失明の恐れがあります。
早期発見・早期治療が重要なので、自己判断せず、万が一のことを考えて一度診てもらったほうが安心です。
予期せぬ症状(目やに、食欲不振など)が出た場合
目やにの量が普段より多かったり、元気がなく食欲が落ちている場合もすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
病院へ向かうまでの間は、犬が目をこすらないように注意する必要があります。
エリザベスカラーがあれば付けるようにし、なければ抱っこして目をさわらせないように気を付けてください。
【犬の目の充血】目の健康を守る予防策
ここから、犬の目の健康を守るために、普段からできる予防策について解説します。
定期的な健康チェックと予防接種
普段から、愛犬の黒目・白目の色、涙やけ・目ヤニの量が増えていないかなど、飼い主さんがよく観察しておくようにしましょう。
特に目の病気が多い犬種は、日々のチェックに加えて、動物病院で定期的に目の検査をしてもらうといいでしょう。
検査は主に「眼圧検査」と「涙液量検査」で、一般的な健康診断(身体検査、血液検査など)にオプションとして加えて受けられます。
動物病院での眼科検診では、見た目では分からない目の異常を発見でき、病気の早期発見・早期治療につながります。
また、定期的に予防接種を受けることも大切です。
混合ワクチンは、細菌、ウイルス、寄生虫などによる感染症の発症を予防します。
予防ができる感染症には命に関わる重大な病気が含まれていて、大切な愛犬の健康を守ってくれます。
健康診断は成犬で1年に1回、7歳以上のシニアは半年に1回、混合ワクチンは1年に1度の追加接種が推奨されています。
適切な衛生管理とアレルゲンからの保護
涙の量が多く、目の周りが涙やけになっていたり目ヤニが目の周辺についていると、そこで繁殖した雑菌が目に入って目の病気の原因になります。
目から溢れ出た涙や目ヤニは、湿らせたコットンやタオルなどで、こまめに優しく拭き取ってきれいにすることが眼病の予防になります。
また、ハウスダストやノミの唾液などは犬がアレルギーを起こす要因です。
室内の掃除をこまめにし、清潔に保つことがアレルギーの予防になります。
空気清浄機の利用もアレルゲンの量を減らすのに有効です。
環境と日常のケアの改善
犬のような動物は顔が被毛で覆われているため、汚れがつきやすいです。
普段から清潔なタオルでこまめに顔を拭いてあげるといいでしょう。
日常的にブラッシングをして、ノミや皮膚病がないかをチェックしてください。
シャンプーは、基本的に月に1〜2回の頻度で行います。
すでにアレルギー性皮膚炎のような疾患がある場合は、症状によって頻度が変わってくるので獣医師の指示に従うようにしてください。
愛犬の生活スペースを清潔に保ち、日常的なケアを習慣にすることが眼病予防につながります。
よくある質問
散歩後は足を洗ったほうがいいですか?
犬の目が片目だけ赤いのはなぜですか?
ペット保険は必要?
ペットには公的医療保険制度がありません。そのため診療費の自己負担額は100%です。
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また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
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ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
【犬の眼が充血している時の原因は?考えられる病気や対処法について解説】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・犬の目が充血している時の自宅での対処法と応急処置
・目の健康を守る予防策