犬のイボの切除費用は動物病院によって異なるものの、およそ30,000円です。ほかの治療法としてレーザー治療や塗り薬があります。イボには良性と悪性があり、自己判断で様子を見ていると危険です。見つけたら動物病院で診てもらいましょう。
この記事では
・犬のイボの良性と悪性の見分け方
・犬のイボの治療費と治療方法
「イボ」とは
皮膚に突起してできるできものを、一般的に「イボ」と呼びます。
犬は人間と比べて皮膚が弱く薄いため、イボなどができる確率は人間の34倍といわれています。
犬のイボは主に「ウィルス性」と「免疫力の低下」などで起こり、犬種やライフステージによってもできやすさが違います。
基本的には良性のできものですが、
があるため注意が必要です。そのため愛犬にイボが見つかったら、独断で判断せずに動物病院を受診しましょう。
犬の体にできたイボやできもの、その原因とは?
犬にイボやできものができる原因は、大きく3つに分けられます。
①ウィルス性
②免疫力の低下
③原因不明
犬のイボは大きさも様々で、小さいもので数mm、大きいものになると5cm以上になるケースがあります。大きさが1㎝を超えると重大な病気の可能性があるため注意が必要です。
またイボには良性や悪性といった種類があります。
3つのイボの原因は、良性と悪性のどちらになるのかも併せて解説していきます。
犬にイボができる原因①:ウイルスによるもの
犬のイボの原因で最も多いのが、「パピローマウイルス」(乳頭腫ウイルス)によるものです。自然界に存在しており、身近なウィルスです。
健康な状態であれば特に影響はありませんが、
- 皮膚の乾燥によるバリア機能の低下
- 傷口
などから感染してイボができる場合があります。
犬にイボができる原因②:免疫力の低下によるもの
免疫力の低下は、子犬やシニア犬、病気を患っている場合に考えられます。
免疫力が低下すると、様々なウィルスに感染したり炎症を起こしやすくなります。
健康な時には心配ないイボでも、免疫力が低下している状態では悪性腫瘍に進行してしまう可能性があるため、気を付けておかなければいけません。
犬にイボができる原因③:原因不明のもの
なぜできるのか、原因が不明のイボがあります。
代表的な原因不明のイボには
- 「脂肪種」…皮下組織にできる脂肪の塊
- 「皮膚組織球腫」…犬の皮膚にみられる腫瘍
- 「表皮嚢胞」…毛穴の上方部分にできる袋状の嚢腫
があり、どれも良性の場合が多いのが特徴です。
一方、原因不明で悪性腫瘍なのは
- 「扁平上皮癌」…粘膜や皮膚を構成する扁平上皮細胞が癌化したもの
- 「肥満細胞腫瘍」…肥満細胞が腫瘍化したもの
- 「悪性黒色腫(メラノーマ)」…皮膚の表層にあるメラノサイトという細胞が腫瘍化したもの
があげられます。
良性腫瘍と悪性腫瘍の割合について、四国医療センターなどで「国内1次診療動物病院26施設における犬と猫の腫瘍発生状況調査」が行われました。
確定診断された腫瘍のうち悪性腫瘍は46.2%とおよそ半分で、その中で最も多かったのが
だったことが明らかにされています。
つまり悪性腫瘍のおよそ1/3が「肥満細胞腫」というわけです。
ほかの悪性腫瘍の割合も
- 悪性黒色腫(7.7%)
- 扁平上皮癌(5.2%)
となっています。
このことから悪性のイボは、悪性腫瘍全体の約6割になることが分かります。
良性のものがあるからといってイボを放置していると危険だということですね。
補足:イボができやすい犬種は?老犬や子犬もできやすい!
ウィルス性は、全ての犬に可能性があるイボです。
一方、「原因不明とされているイボ」にはできやすいといわれている犬種があります。
良性のものと悪性のものを両方紹介していきます。
良性腫瘍:脂肪種
・ボクサー
・ボストンテリア
・ラブラドールレトリバー
・ゴールデンレトリバー
・シュナウザー など
良性腫瘍:皮膚組織球腫
・ボクサー
・ダックスフンド
・ブルテリア
・コッカースパニエル
・シェットランドシープドッグ
良性腫瘍:表皮嚢胞
・シーズー
・シュナウザー など
「表皮嚢胞」は人間でいうところの「ニキビ」みたいなもので、老化に伴い増えます。
悪性腫瘍:扁平上皮癌
・ビーグル
・ダルメシアン
・ウィペット
・ホワイトイングリッシュブルテリア
「扁平上皮癌」が鼠径部にできやすいのが上記の犬種です。
爪下に発生しやすいのは
- ラブラドールレトリーバー
- フラットコーテッドレトリーバー
- スタンダードプードル
- ロットワイラー
で、被毛がブラックの大型犬が好発犬種です。
悪性腫瘍:肥満細胞腫瘍
・フレンチ・ブルドッグ
・ゴールデンレトリバー
・ラブラドールレトリバー
・ボクサー
・ビーグル
・シュナウザー
・ボストンテリア
・ポインター
・パグ
「肥満細胞腫瘍」は、「脂肪種」とは異なり悪性の腫瘍です。犬の肥満などは関係なく、8~9歳頃に好発しやすいとされています。
悪性腫瘍:悪性黒色腫(メラノーマ)
・ゴールデンレトリバー
・ミニチュアシュナウザー
・コッカー スパニエル
・ミニチュアピンシャー
・ダックスフンド
「悪性黒色腫(メラノーマ)」は主に口腔内で見られます。発生する平均年齢は10〜12歳で、高齢犬に多い腫瘍です。
どの犬にもできる可能性があるため、愛犬の皮膚チェックは欠かさないようにしましょう。
一方で
イボやしこりはスキンシップを取っているとわかるので、撫でながら皮膚の状態を確認しましょう。
犬のイボの見た目は?良性と悪性の見分け方とは
犬のイボの見た目は、白かったり黒かったりと様々です。良性か悪性かは色で大まかに判別できます。
また、イボができる場所も注意しましょう。早急な処置が必要な場合があります。
ただし愛犬にイボを見つけたら、独自で診断を付けず獣医師に診てもらいましょう。
これから紹介する見分け方は参考程度で考えてください。
良性のイボの特徴:柔らかい、白い、ピンク
イボが良性な場合、つまむと皮膚と一緒に動くほど柔らかいものがほとんどです。色も白やピンクで明るく、サイズも小さめです。
良性のイボには
- パピローマウィルス
- 脂肪種
- 皮膚組織球腫
- 表皮嚢胞
があげられます。
良性ではあるものの、進行して大きくなるものでは切除のケースがあります。
動物病院で良性と診断されても、大きくなったり愛犬が気にするようであれば獣医師に相談することが重要です。
パピローマウィルス
色 | 白色、黄色、ピンク |
---|---|
サイズ | 10mm未満 |
特徴 | カリフラワー状になったり、自然に取れる場合がある |
脂肪種
色 | 特になし |
---|---|
サイズ | 1㎝から5㎝以上など様々 |
特徴 | ・触ると柔らかい ・進行性の腫瘍で大きくなる |
皮膚組織球腫
色 | 濃いピンク色 |
---|---|
サイズ | 2㎝以下 |
特徴 | 形状はドーム状またはボタン状 |
表皮嚢胞
色 | ・炎症がなければ特に色はなし ・炎症がある場合は赤みあり |
---|---|
サイズ | 数㎜から数㎝ |
特徴 | 進行すると皮膚が破裂して黄みがかった内容物が出る |
悪性のイボの特徴:黒い、赤い、硬め、大きくなる
悪性のイボは進行すると「ガン」になります。進行スピードが速いので、みるみるうちに大きくなるようなら悪性腫瘍の可能性があります。
色は黒かったり赤いものが多く、硬くて根を張ったように動きません。
悪性のイボには
- 扁平上皮癌
- 肥満細胞腫瘍
- 悪性黒色腫(メラノーマ)
があります。
それぞれの特徴を紹介します。
扁平上皮癌
症状 | カリフラワー状や盛り上がった状態から脱毛、潰瘍に進行 |
---|---|
特徴 | 発生する場所は約3割が皮膚、約6割が口腔内、残りの1割は鼻の中や眼・足先(爪の根本) |
肥満細胞腫瘍
症状 | ・盛り上がっていて、触ると硬い ・表面が赤くなっていたり潰瘍のようにただれているケースも |
---|---|
特徴 | 皮膚に多く、脇腹と股の周囲(50%)、四肢(40%)、残りの10%は頭や頸に発生する |
悪性黒色腫(メラノーマ)
症状 | ほくろのような黒い斑点ができる |
---|---|
特徴 | 口腔内に発生することが多い |
補足:犬のイボはどこにできる?頭や足、首や口元に注意
犬のイボは体中いたるところにできる可能性があります。
その中でも
です。
特に爪の付け根や口腔内は、「扁平上皮癌」や「メラノーマ」などの可能性が高くなります。
見つけたらすぐにでも獣医師に診てもらうことが重要です。
愛犬の体にイボがあるのを発見したらどうする?
愛犬の身体のイボを見つけたら、できるだけ早めに動物病院に連れていくことをおすすめします。
どうしてもすぐに連れていけない場合には、次のような対処をしましょう。
- イボには触らない
- 生活環境を清潔に保つ
- ストレスや運動不足に注意
同時に大きくなっていないか確認すると、動物病院での治療に役立つ可能性があります。
飼い主さんがあまり気にしすぎると愛犬も気になってしまうので、適度にチェックを行いましょう。
犬のイボの対処法①:イボには触らない、痒いとなめてしまうかも
イボの大きさを確認したいからといって触ってしまうと、愛犬が気にしてなめてしまいます。
炎症を起こしてしまうケースがあり、悪化させないためにも最低限でおさえておきましょう。
また愛犬がなめたり掻いてしまってもよくありません。
注意しても気にするようなら、エリザベスカラーや洋服などで対処しましょう。
犬のイボの対処法②:生活環境を清潔に保つ
ウィルス感染で発症するイボだと、清潔にすることで悪化を防いだり発症を抑えることができます。
犬に多いパピローマウィルスはウィルス感染です。抵抗力はもちろんですが、原因となるウィルスを減らすことも対処法としては有効です。
普段愛用しているブランケットやクッション、ぬいぐるみなど定期的に洗ってあげましょう。
また散歩から帰ったらブラッシングをしてあげると、その時の汚れは落とすことができます。
またひと月に1回程度のシャンプーで清潔な体を保つと、イボだけでなく皮膚の健康にも役立つので試してみてください。
犬のイボの対処法③:ストレスや運動不足に注意
免疫力の低下で引き起こされるイボがあります。
ストレスは免疫力を下げるため、解消するためにも運動をさせましょう。
適度な運動とバランスが良い食事で、心と体をケアしてあげることが大切です。
犬のイボは治療した方がいい?治療費用や市販薬の効果は?
ここからは治療の重要性や方法、費用や市販薬などについて解説します。
イボができたらまずは動物病院を受診する
愛犬にイボがみられたら、
また、経過観察でも
- 大きさ
- 炎症
- イボの数
に注意しておかなければいけません。異常がみられたら動物病院に連れて行ってください。
また、良性でも下記のようなケースだと切除を検討したほうが良い場合があります。
・イボを気にして出血を繰り返す
イボができた場所によっては、関節の可動域を狭めてしまい生活の質を落としてしまう場合があります。
またイボを気にして噛んだりなめたりすると、出血を繰り返してしまいます。
獣医師と相談し、愛犬の状態と今後の生活を考えて決断すると良いでしょう。
良性のイボが自然にとれたら放置しても大丈夫?
良性のイボが自然に取れたら、様子見で大丈夫です。傷がないかを確認しておきましょう。
できものの中には破裂して、内容物が出てしまうことがあります。
出血を伴うケースも多く感染の恐れがあるため、破れた場合には動物病院で診てもらうと良いでしょう。
手術やレーザー、塗り薬の治療がある!それぞれの治療費用は?
犬のイボの治療方法と金額は下記のとおりです。犬のサイズや動物病院によって異なるため、かかりつけ医に確認をしておきましょう。
・レーザー治療…5,000円~(1カ所)
・塗り薬…1,000円~
「除去手術」の料金は高額になりますが、イボの治療としては切除が最も有効です。ただしイボの場所や犬の状態などによっては手術ができない場合があります。
「レーザー治療」は体にメスを入れないため、犬に負担がかかりにくい治療法です。無麻酔でもできますが動いて治療ができないような性格だと、麻酔を使用する場合があります。
「塗り薬」は安価で手軽な方法です。一方ですぐに効かず、効果が現れないケースもあります。
そのため、確実性と即効性を求める人には不向きでしょう。
この方法は、あまりおすすめできません。理由は
・悪性腫瘍を見逃す恐れがある
・失敗して別のトラブルになる可能性がある
ためです。
犬のイボ用の市販薬はある?その効果は?
犬のイボ用の市販薬は、ネットなどでも販売されています。手軽に購入でき試しやすいため、愛犬のイボで困っている人には喜ばしい限りでしょう。
動物病院で「様子見で大丈夫」といわれたけど、ちょっと試してみたいという人にはおすすめです。
念のため、獣医師に使用の許可をもらっておくと安心ですね。
ただし、まれに「イボがひどくなった」「皮膚がただれた」などの口コミもあります。少しでも愛犬に合わないと感じたら使用を中止してください。
また、イボが大きくなるようなら薬の効果を待たずに動物病院へ連れていきましょう。
人に使用する場合でも、イボの種類や使用する場所によっては赤くただれる可能性があります。ましてや人より皮膚が弱い犬に使用すると考えると、使うべきではないのが分かります。
補足:犬のイボはうつることがある?
犬のイボにはうつる種類のものがあります。感染するのはパピローマウィルスによるイボです。
パピローマウィルスのイボは
のが特徴です。
他の犬との接触で感染するため、ドッグランなどでは注意が必要です。
また寝具やおもちゃでも感染するので、多頭飼育では清潔な環境を保つと良いでしょう。
よくある質問
愛犬がイボを発症しないようにするにはどうしたらいいですか?
犬のイボの原因は様々ですが、主に抵抗力の低下でかかってしまいます。
普段から散歩で体力をつけて食事をバランスよく摂ると、イボに負けない体になるので試してみてくださいね。
犬の頭にあるイボを取りたいのですが、病院の先生に「無理して取る必要はない」といわれました。
飼い主さんのイボが気になる気持ちもわかりますが、獣医師の判断は愛犬の負担を考えてのことだと考えられます。
愛犬が気にしておらず生活に支障がなければ、自然に取れるほうが愛犬にとってみれば楽ですよね。
まずは愛犬にとって一番負担が少ない方法を選択してあげてください。
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
【犬のイボの切除費用】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・犬のイボの良性と悪性の見分け方
・犬のイボの治療費と治療方法