【犬の糖尿病】余命にかかわる末期症状とは?回避する方法はある?
・犬の糖尿病の末期症状と余命
・犬の糖尿病にかかる治療費
「犬の糖尿病」とは
糖尿病は何らかの原因でインスリンの分泌や作用が不足することで生じる病気です。犬の糖尿病は人や猫と異なりインスリンが分泌されていない場合が多く、生涯に渡ってインスリンを注射すしなければなりません。
放置すると確実に進行して命を落としますが、早期に発見して治療がうまくいくと元気な子と同じように長く一緒に暮らせます。
犬の糖尿病について
犬の糖尿病の罹患率は犬全体では0.5%程度ですが、高齢になると罹患率も高くなってきます。
糖尿病の初期には症状がほとんどなく飼い主さんも気づきにくいため発見が遅れがちになります。
糖尿病の種類
糖尿病は次の二つのタイプに分類されます。犬の糖尿病はⅠ型が9割以上を占めます。
- ・Ⅰ型糖尿病(インスリン欠乏性・インスリン依存性)
- 自己の免疫が膵臓のインスリン分泌細胞(ランゲルハンス島のβ細胞)を破壊するためにインスリンの分泌ができない
- ・Ⅱ型糖尿病(インスリン抵抗性・インスリン非依存性)
- インスリンは分泌されているがインスリンに対する反応が乏しい。例えばインスリンの働きを妨げるホルモンが分泌されている場合(膵炎・クッシング症候群など)β細胞が疲弊してしまう。
糖尿病にかかりやすい犬の特徴
糖尿病にかかりやすい犬にはいくつかの特徴があります。
・年齢 中高齢で発症することが多い 7~8歳ころから罹患率が上昇してくる
・性差 雄に比べて雌の方が2~3倍多い 卵巣ホルモンであるエストロゲンがインスリンの作用を弱める
未避妊のメスはリスクが高い。
・他の疾患の合併症として発症 (クッシング症候群 膵炎など)
糖尿病になりやすい犬種
【糖尿病にかかりやすい犬種】
・ミニチュアダックスフンド
・ミニチュアシュナウザー
・ジャックラッセルテリア
・ゴールデンレトリーバ など
これらの犬種は8歳ころから糖尿病にかかりやすい傾向があるので注意しましょう。ただし、どの犬種でも罹患のリスクはあります。
犬の糖尿病の症状
以下、糖尿病の症状について解説します。
初期症状
一般的に初期症状と言われていのは
・多尿
・食欲があるのに痩せる
【症状が出る仕組み】
- 痩せ・多食
- 食事をすると消化・吸収され栄養素の一つとして糖ができます。糖は腸で吸収されて血液の流れにのって体中に運ばれ、各臓器の細胞にエネルギー源として取り込まれるのですが、糖を取り込むためにはインスリンが不可欠です。
食べても、インスリンがないとエネルギー源となる糖は体に届きません。つまり食べても体は飢餓状態です。よって食欲は増していきます。
その状態が続くと体に蓄えている脂肪やタンパク質を分解して生命を維持しようとするため痩せてくることになります。
- 多飲・多尿
- 血液中の糖が体の細胞に届けられないと、血液中に過剰な糖が溜まります。血管の中に多くの糖があると浸透圧の関係で血管外の水分を血管内に引き込みます。加えて血管内の糖が増えると腎臓で水分の再吸収がうまくできず、尿量も増えます。
尿量が増えることで細胞が脱水状態となり、脱水を解消しようと水をたくさん飲むようになります。
進行しているときの症状
糖尿病が進行すると「ケトアシドーシス性糖尿病」になります。体がエネルギー源として自分の体の脂肪を分解して使用するようになるとケトン体が体内に溜まり、体が酸性に傾いてきます。
こうなると、従来の糖尿病の「多飲・多尿・痩せる」という症状に加えて次のような症状が現れます。
・嘔吐
・下痢
・尿が甘酸っぱい匂いがする(ケトン臭・アセトン臭)
後期から末期は糖尿病性ケトアシドーシスに注意
ケトアシドーシスとはインスリンの不足により全身の代謝がうまくいかなくなった状態で、体が生命を維持するために自分の脂肪を分解してエネルギー源とします。脂肪分解の副産物として出る「ケトン」が体内に溜まります。
ケトアシドーシスが進行する(ケトン体が血中に増える)と血液が酸性に傾き、脳機能を障害し神経症状を呈します。また、重度の脱水をひき起こし腎不全に陥ることもあります。
【ケトアシドーシスの原因】
・正しい治療を継続していない場合
【ケトアシドーシスの症状】
・高血糖 脱水 元気がない 吐く 下痢 口臭(アセトン臭)
・意識障害 昏睡 ショック などの神経症状
犬の糖尿病の治療
治療の目的は「血糖のコントロール」と「合併症の予防」です。
糖尿病の合併症には「急に進行する白内障」「慢性的な細菌感染による再発性皮膚炎」「膀胱炎」などが挙げられます。
また高血糖が続くと血液がドロドロになり、血管がダメージをうけ、細い血管が詰まります(糖尿病性網膜症、腎症など)。
【犬の糖尿病の診断基準は】
・多飲 多尿 多食 体重減少
・継続的に血糖値が高い
・尿糖が陽性
初期の場合
ごく初期で合併症もなくて元気な場合や非インスリン依存性の糖尿病では療法食で様子を見ることもありますが、ほとんどの場合インスリンの注射が必要です。
適切な食事を取りながら、インスリンを注射して血糖をコントロールします。
糖尿病における食事は食後の血糖値を急激に上げないことがポイントとなります。低糖質、低脂肪、適度なタンパク質、高繊維質の食事をとります。食物繊維は糖の吸収を緩やかにし食後の血糖値の上昇を抑える役割を果たします。
進行している場合
Ⅰ型糖尿病においてはインスリンの注射によって血糖をコントロールすることが唯一の治療法です。インスリンは自宅で飼い主さんが行うことになります。
クッシング症候群など、別の病気に併発している糖尿病は元の疾患を治療することで治ることもあります。
インスリン注射の進め方
インスリンの注射を行うにあたっては
・どの種類のインスリンを
・一日に何回
・どれくらいの量を注射するか
を定めるために入院(もしくは通院)してモニタリング(数時間ごとに血糖値を測定する)が必要になります。実際に注射をしながら、血糖値を細かく測定して、その犬に最適な量を決めていきます。最初は通院回数も多いですが、落ちつけば2カ月に一回程度の通院になる場合もあります。
飼い主さんは獣医師の指導の下、注射の打ち方をマスターしなければなりません。
低血糖に注意
インスリンは少ない量で大きな作用があります。脳は血液中の糖を唯一のエネルギー源としており、低血糖になるとエネルギー不足になり神経症状を呈します。
高血糖ではすぐに命に係ることはありませんが、低血糖は手遅れになると死亡する場合があります。
注射の量を間違える・失敗して二度打ちした場合などでは、必要以上に血糖値が下がり危険な状態になります。
【低血糖の症状】
・ぐったりしている
・痙攣
・舌が白っぽい
・意識障害
・痙攣
・体が冷たい など
※ 低血糖時の対処方法を動物病院で必ず聞いておきましょう。
インスリンによる治療がうまくいかないと感じる場合
インスリン注射を行っているのに血糖値のコントロールがうまくいかない、効かないと感じる場合もあります
その他に検討すべき点として
・インスリンの使い分け インスリンが合っていなければ他の種類を検討
・食事の種類や量は変動していないか
・注射の打ち方(同じ場所に打っていないか 食事をしないのに注射を打っていないか)
・基礎疾患はないか再検討
・太ったり運動量の減少などの変化はないか
※インスリンを同じ場所に打っていると皮下組織が硬くなり、吸収しにくくなることがあります。
犬の糖尿病の治療法と費用
では、実際の治療にはどれくらいの費用が掛かるのでしょうか。治療費は犬の大きさや状態、使用する薬剤、動物病院などによって大きな差がでてきますので、あくまでも参考程度に見てください。
インスリン費用含む治療費
多飲・多尿などの症状で動物病院を受診した場合、他の疾患との識別や状態を把握するために検査が必要になります。
初期検査(血液検査 尿検査 レントゲン エコーなど) | 20,000~25,000円程度 |
インスリン(1瓶) | 6,000~10,000円 |
注射針 | 50~100円/本 |
受診時毎に行う検査(血液検査 尿検査) | 2,000円程度 |
インスリンの使用量は犬の大きさや状態によって異なります。小型犬の場合1バイアル(瓶)で1~3カ月分程度となります。
アニコムみんなの動物病気大百科によると「犬の糖尿病にかかる費用」は小型犬で年間通院回数8回、年間の治療費88560円となっています。月平均に直すと7380円ということになります。
上記の金額はペット保険の支払い事例に基づくもので、保険の対象外となる注射針の費用が一日2本使用するなら5,000円程度必要になります。
上記の情報をもとに計算すると糖尿病のインスリン治療の費用は1カ月の治療費はおおよそ10,000~15,000円程度ということになります。もちろん1万円以内で収まる場合や2~3万円必要な場合もあります。
また治療と並行して療法食を使用するならば、3㎏(体重8キロ程度の犬で1カ月分)で7000円程度が必要です。
合併症を発症すると、インスリン治療に加えてその治療費も必要になるため、高額な医療費がかかることになります。「ケトアシドーシス」を起こし、神経症状など重篤な症状を呈する場合は入院治療が必要になり、治療費も10万円以上の高額なものになります。
通院の頻度
糖尿病の場合、インスリン治療を始めた当初は頻回に血糖値の測定を行い状態を確認する必要があるため、5~7日に一度の受診が必要になります。
しかし、血糖値が安定すれば1~数カ月ごとに受診して検査データや体重のチェックを行います。
飼い主さんはワンちゃんに対して決まった時間に決まった量の食事を与え、決まった時間に注射をするという作業をずっと続けなければなりません。この作業をずっと続けるのは大変かもしれません。
犬の糖尿病で末期といわれた場合
次に犬の糖尿病で末期症状を説明します。
余命はどのくらい
犬の糖尿病の末期になると腎不全や糖尿病性ケトアシドーシスを起こします。ケトアシドーシスは、体内にケトン体が増えていることに早く気づくと治療の成果も上がるのですが、糖尿病に気づかず経過して意識障害や痙攣がおきて初めて受診するというケースもあります。
この状態はすでに糖尿病も長い経過をたどっている証でもあり、不運にも命を落とすことがあります。
治療効果がない場合、状態によって余命は異なりますが数日以内に亡くなるでしょう。また、いったん症状が改善しても繰り返し神経症状が出現するような場合も厳しい状況と言え、最後は昏睡状態となり生涯を終えるでしょう。
適正な治療を継続している場合は、ケトアシドーシスに陥ることは希です。
治療しない選択肢はある?
糖尿病を発症して、治療するか否かは飼い主さんの意志によって決まります。しかしⅠ型糖尿病は、放置しておいて治った例はありません。治療を行わないと確実に進行してやがてケトアシドーシスや腎不全などを併発し、命を落とします。
末期において治療をしないことは確実に死が身近なものになることを意味します。治療を続けるかどうか、小さな命は飼い主さんの手の中にあると言えます。
犬の糖尿病を予防するためにできること
犬に多いインスリン欠乏性の糖尿病は直接的に予防する方法はありませんが、定期的な健康診断を受けると早期に発見することはできます。
また、肥満はさまざまな疾患のリスクが高まるため、体重のコントロールはきちんとおこないましょう、加えて適度の運動をして、ストレスをためない生活を心がけましょう。
繁殖を望まない雌は避妊手術をすると糖尿病のみならず乳腺腫瘍や子宮蓄膿症の予防にもなります。
犬の糖尿病や白内障におすすめのペット保険は?
犬の白内障も糖尿病も共に完治させることができず、長期的な通院治療が必要な疾患です。
また、白内障は手術の場合は安くても1眼20~25万、場合によっては35万円程度と犬の手術費用の中でも比較的高額の部類です。
そのため、白内障や糖尿病に備えとしてペット保険に加入する場合は下記の項目に留意して選ぶことをおすすめします。
・「更新時に特定の病気や部位を補償の対象外とすること」はありません。という旨がHPや重要事項説明書・保険約款に記載されているペット保険
ペット保険比較アドバイザーでは、犬の糖尿病に対しておすすめのペット保険をご紹介します。
おすすめの理由としては、上記の条件を満たしているペット保険である事、そしてもちろん糖尿病・白内障共に補償の対象としているペット保険であり、通院補償も他社より比較的充実しています。
糖尿病・白内障の治療を考えると、一番おすすめはアニコムです。
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※ご注意
・ご契約者または弊社より別段の意思表示があった場合には、ご契約は継続となりません。
・自動的にご契約が継続とならない場合や、商品改定により保険料、補償内容などが変更となる場合があります。
引用:重要事項説明書
よくある質問
糖尿病の犬にインスリンを打たないとどうなりますか?
犬の糖尿病は治るのでしょうか?
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
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また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
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従来の比較表だけではわかりづらいペット保険の補償内容の範囲や充実度を踏まえたうえで、保険の募集人資格 を持った、ペット保険のプロが提案させていただきます。
【犬の糖尿病~症状や治療法、末期症状と余命】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・犬の糖尿病の末期症状と余命
・犬の糖尿病にかかる治療費・箇条書き