猫が皮膚病にかかるとはげる場合があります。毛が抜けたり発疹やかさぶた、かゆみなどがあり、再発しないためににも早急な治療が必要です。猫がはげるほどの脱毛は異常だと考えましょう。
この記事では
・ 猫の皮膚病の原因
・ 猫の皮膚病の治療と注意点
猫が「ハゲ」てしまうのはどうして?
猫がはげてしまうのは主に
猫の皮膚病の症状
猫の皮膚病の症状として下記のようなものがあげられます。
- 毛が抜ける
- かさぶたができる
- 毛が脂っぽくなる
- かゆがる
- 発疹が出る
猫の皮膚は被毛におおわれており、皮膚の異常に気付かないケースも多くみられます。
症状を知って重症化する前に発見しましょう。
毛が抜ける
猫は基本的に毛が抜けますが
- 皮膚炎そのものや皮膚疾患による痒み
- 内分泌系の病気
・体の側面
・腹部
・太もも内側
など様々ですが、内分泌系だと「左右対称性」なのが特徴です。
かさぶたができる
かさぶたができるのも皮膚炎の症状のひとつです。
・皮膚炎による炎症
・かゆみで掻きむしった結果
毛が脂っぽくなる
猫の被毛が脂っぽくなっても注意しなければいけません。
油っぽい被毛は
という皮脂の分泌異常の可能性があります。
かゆがる
同じ場所をずっと掻いたり、全身を掻きむしるようなしぐさがみられたら皮膚病のサインです。
皮膚病の中には強いかゆみを伴うものもあり、
があれば要注意です。放置するとかさぶたや脱毛につながります。
また外耳炎や耳ダニが原因だとかゆみのため、しきりに頭を振るしぐさがみられます。
・耳垢が増える
・耳から異臭がする
などの特徴があります。
発疹が出る
皮膚の赤みや発疹も、皮膚炎の症状のひとつです。
毛で見えにくいのですが、かき分けて発症している部位を見つけましょう。
・お腹や足の付け根、耳、顔まわりなど毛が薄い部分
・良くかゆがっている部分
上記のポイントを中心にチェックすると、症状が見つかる可能性があります。
同じ個所をかゆがっていないか、気にする部分はないかを普段から観察しましょう。
猫の皮膚病の原因
猫の皮膚病の原因として考えられるものは主に4つあります。
- アレルギーによるもの
- 菌の感染によるもの
- ストレスによるもの
- 寄生虫によるもの
中には対策をしないと再発するものもあるため、原因を知っておくことは重要です。
① アレルギーによるもの
アレルギーを起こす原因となるものは下記のとおりです。
・食物
・ノミ
・ハウスダスト
・花粉 など
アレルギーとは、体内に入ったアレルゲンに対して免疫機能が異常に反応してしまい症状を起こすことです。
その原因の多くはハウスダストや花粉です。
アレルゲンによっては発症する部位やその他の症状、かゆみの強さが違ってきます。
アレルギー名 | 症状 | 注意点 |
---|---|---|
食物アレルギー アトピー性皮膚炎 |
顔面や耳、足先や肛門周囲にかゆみや皮膚症状が出やすい | 外耳炎や膿皮症、下痢などの消化器症状がみられる場合も |
ノミアレルギー | 赤い湿疹が広がり、かゆみが強い | 掻きむしったり脱毛がみられる |
診断の参考になる場合もあり、愛猫のどの部分に症状が出ているか確認しておくことは大切です。
② 菌の感染によるもの
皮膚に影響を及ぼす菌は主に
です。
皮膚や被毛が真菌に感染した状態を「皮膚真菌症」と呼び、顔や前・後ろ足に多くみられ円形の脱毛が現れます。
軽度だとかゆみはなく毛が抜けるだけなので見落とすケースもありますが、一度発症すると治療に時間がかかるため早期の処置が重要です。
かゆみを伴う場合もあり、人だけでなくほかのペットにも感染しないよう注意が必要です。
③ ストレスによるもの
体の一部を舐め続け、脱毛したり皮膚炎になるケースがあります。
その状態は
といわれ、多くはストレスが原因です。
舐性皮膚炎はなめやすい箇所である
- 前足や後ろ足
- 太ももの内側
にみられます。
・引っ越し
・結婚や出産などで家族が増える など
舐性皮膚炎ではなめ続けることで毛玉も多く飲み込み、よく吐きます。
毛球症などにも気を付けなければいけません。
④ 寄生虫によるもの
猫の皮膚に影響を及ぼす寄生虫には
- ダニ
- ノミ
があげられます。
ダニ
ダニにはたくさんの種類が存在し、猫だと皮膚だけでなく耳に寄生するものもいます。
・「マダニ」「ショウセンコウヒゼンダニ」「ツメダニ」 皮膚に寄生
・「ミミダニ」 耳に寄生
ショウセンコウヒゼンダニは強烈なかゆみをもたらす「疥癬(かいせん)」の原因です。
「疥癬トンネル」といわれる穴を作り皮膚の中に潜って炎症をおこします。
同じく皮膚に寄生するツメダニはかゆみがないケースがほとんどです。一方でフケが発生するのが特徴です。
ミミダニは刺しはしませんが耳の中を動くため、かゆみや不快感を伴います。
ノミ
ネコノミは刺してかゆみをもたらすだけでなく、
場合があります。
症状には個体差があり、中には1匹のノミにさされただけでも激しい皮膚炎を起こす子もいます。
発症すると左右対称の赤いぶつぶつが
- お腹
- 首から背中
にかけて広範囲に広がります。強いかゆみが特徴です。
かかりやすい猫の種類
皮膚病にかかりやすい猫の種類は特にありません。すべての猫に気を付けるべき病気です。
ただし、体質や毛の長さなどで注意が必要な場合もあります。
皮膚病の原因によって異なる
猫の個体差や被毛の長さにより、皮膚病にかかる原因が変わります。
アレルギーが原因の皮膚病であれば、発症しやすいかどうかは個体差によるところが大きいです。
皮膚真菌症だと
- 抵抗力がない子猫や高齢猫
- ペルシャやヒマラヤンといった長毛種
に多くみられます。
どちらにしても皮膚病にかからないためには、皮膚を清潔に保つのが一番です。ブラッシングなどで抜け毛を少しでも減らして、皮膚の通気性を良くしましょう。
猫の皮膚病を調べる方法
猫の皮膚病の原因は様々なため、いろんな方向からアプローチする必要があります。
・問診
・外部寄生虫(ノミ・ダニ)の確認
・皮膚や被毛の検査
・アレルギー検査
・血液検査
問診や外部寄生虫の確認などは、飼い主さんの意見も大事になってきます。
大切なことをはメモを取って伝え忘れがないようにしましょう。
問診
問診で必要なのは「かゆみの状況」です。
・どの部分を
・どのくらい
・いつから
・かゆみは増してきているか
・減ってきているか
他にも
- 外に出るのか
- 野良猫との接触はあるか
- 同居している動物はいるか
- ノミダニ予防をしているか
などを質問されるでしょう。正しく答えられるようまとめておいてください。
外部寄生虫(ノミ・ダニ)の確認
自宅でノミやダニを見つけたら、獣医師に伝えましょう。本体の姿が見えなくても、猫の体に砂つぶほどの大きさのノミの糞が確認できれば存在する証明になります。
場合によってはノミやダニの予防をしていても効果がみられないケースもあります。予防をしているからといって過信しないようにしましょう。
予防していてもノミがみられたら、駆虫薬の種類を覚えておくか空き箱を持参してください。種類を変更することで再発が予防できます。
皮膚や被毛の検査
発症している部分を直接確認したり顕微鏡で検査を行い、皮膚病の診断の参考にします。
皮膚真菌症だと真菌の培養検査を行います。
他にもカビの種類によっては、ウッド灯という特殊な機械で確認することも可能です。
アレルギー検査
アレルギーが疑われる場合には、アレルゲンを特定することが大切です。
・除去食試験
・アレルギー試験
除去食試験とは、アレルギーの可能性がある食材を一切含まない食事のみを与えて症状の改善の有無を調べる方法です。
当然おやつも使用される食材に注意しなければならず、最低でも8週間続ける必要があります。
アレルギー検査は外部の専門機関に血液を郵送する検査方法です。結果が分かるまでに約2週間かかり、検査費用も高額になります。
血液検査
皮膚病の中には、脂漏症など体内の異常が原因となるケースもあります。
そのため疑われる病気によっては、ホルモン検査や血液検査を行う場合があります。
猫の皮膚病の治療と注意点
猫の皮膚病を見つけたらすぐにでも治療を開始しましょう。完治するまでに時間がかかるものも多く、先延ばしにすればするほど治療期間も長くなります。
また皮膚病には再発するケースがよく見られます。
皮膚病にかかった原因を見つけて、再発しないための予防が大切です。
まずは原因を調べる
猫の皮膚病には様々な原因があり、それぞれに治療方法が違います。
愛猫に皮膚病がみられたら、獣医師に伝えるべき事項をまとめて動物病院へ連れていきましょう。
問診や検査で原因が何かを調べることが、効果のある治療につながります。
猫の皮膚病の治療方法
猫の皮膚炎で代表的な
- アレルギー
- 菌の感染
- 寄生虫
では、それぞれ治療方法が違います。
方法1. アレルギーの場合
アレルギーの治療をするにあたり、アレルゲンを特定するのは重要です。
その原因を取り除いていくと同時に
- 抗ヒスタミン剤
- 副腎皮質ホルモン剤
などを用いて症状を緩和していきます。
一方で「減感作療法」を行う場合もあります。
- 減感作療法とは
- アレルゲンを少しずつ体内に取り入れ時間をかけて体に慣れさせる治療法
これらの治療とともに飼い主側では、アレルゲンとなりうる物を愛猫の環境から取り除いていくことが大切です。
方法2. 菌の感染
皮膚糸状菌症などの菌が原因の場合、抗真菌薬(外用薬・内用薬)の投与が主な治療方法になります。
また、
- 抗真菌薬のシャンプーを使用する「薬浴治療」
- 患部の通気性を良くし、広げさせないための毛刈り
などを行う場合もあります。
方法3. 寄生虫
寄生虫が原因であれば、何よりも先に駆虫を行わなければいけません。駆除剤には注射や内服薬があります。
ダニ駆除剤はダニの卵には効果がないため、卵が孵化すると再度ダニが増えてしまう場合があります。
そのため1回目の投薬の数日後、2~3回の投薬を行います。
治療にかかる費用は?
アニコム損保「家庭どうぶつ白書2016」によると、
他にもラグドールの年間診察費として
- 疥癬(かいせん) 16,068円
- 皮膚の痒み(原因未定) 12,425円
- その他の皮膚疾患 9,796円
があげられており、皮膚疾患ではさほど高額にならないことが分かります(アニコム損保「家庭どうぶつ白書2022」ラグドールの場合)。
ただし皮膚疾患は治るまでに時間がかかる病気です。さらに再発しやすく、何度も動物病院に通わなければいけなくなる可能性もあります。
そのため再発防止には十分な注意が必要です。
サプリメントは効果がある?
サプリメントは「健康補助食品」です。薬のように効果がすぐに現れるものではないということを覚えておかなければいけません。
サプリメントの中には悪影響を及ぼす場合もあるため、使用に関しては獣医師に相談する必要があります。
独自の判断で与えるのは危険です。絶対にやめましょう。
どうすれば予防ができる?
ノミやダニが原因の皮膚病であれば、定期的な駆虫薬で予防ができます。
またブラッシングは皮膚の通気性を良くし清潔に保つ手助けとなり、予防の効果もあるでしょう。
ブラッシングやなでることはコミュニケーションの一環でもあり、愛猫のストレス軽減にも役立ちます。
触れ合いながら皮膚や被毛チェックを行うと、異常の早期発見もできて一石二鳥なので実践してみてください。
よくある質問
猫に円形脱毛があります。かゆがらないのですが病院に連れて行ったほうが良いでしょうか?
現在かゆみがみられないとのことですが、今後かゆみが出てくる可能性もあります。
できるだけ早く治療を行いましょう。
なぜか猫の耳の後ろにはげがあります。
はげるほど耳をかゆがるのは耳ダニなどが疑われるので、動物病院で診てもらいましょう。
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
【猫が皮膚病ではげるほど毛が抜けた?円形脱毛の原因と対策は?】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・ 猫の皮膚病の原因
・ 猫の皮膚病の治療と注意点