私達の耳垢は乾燥としっとりの2つに分けられますが、犬の耳垢は耳のトラブルの原因によって種類や状態が違ってきます。
かゆみを伴うことで、犬のストレスの原因にもなります。
この記事では
・外耳炎に注意したい犬種について
・愛犬の耳掃除の始め方について
犬の耳が匂う原因は「炎症」や「感染症」
犬の耳から嫌なにおいがする原因の大半は炎症や感染症による「外耳炎」が疑われます。
犬は皮膚トラブルが多い動物ですが、次に多いのが耳トラブルです。
ここからは耳トラブルで多い「外耳炎」について解説します。
外耳炎
外耳炎とは耳介(人でいう耳たぶ)から鼓膜までの領域(外耳道)に炎症がある状態です。
外耳炎になる原因は様々ですが、主な原因は5つあります。
外耳炎の原因
・アレルギー
・寄生虫
・真菌
・細菌
です。
外耳炎の症状は
・痒がる
・耳の匂いがきつくなる
・耳に触ろうとすると嫌がる、怒る
・痛がる
・頭を振る
・耳が赤い
などがあります。
また、外耳炎の悪化により斜頸(頭を傾ける)という症状が現れることもあります。
中耳炎
中耳炎とは中耳(鼓膜とその周りにある器官)に炎症がある状態です。
中耳炎の原因の大半が、外耳炎の進行です。
それ故に、中耳炎のほとんどは外耳炎を併発しています。
また、中耳炎の症状は外耳炎とほぼ同じです。そのため、外耳炎だと思っていたら中耳炎だったということもあります。
悪化した中耳炎の症状は
・ホルネル症候群
(片方の目が落ち込む、まぶたが下がる、瞬膜が飛び出ると言った症状の総称)
があります。
内耳炎
内耳炎は内耳(耳の最深部にあり、音の受け取りや体の平衡感覚を司る器官など)に炎症がある状態です。
内耳炎の原因で多いのが、中耳炎の進行です。
内耳炎の症状は
・内耳炎がある耳側への旋回
・眼振
・ふらつき
・嘔吐
・食欲不振
などが見られます。
しかしこれらの症状は原因不明の前庭疾患や腫瘍などでも見られるため、見分けは非常に困難です。
犬の耳や耳垢の特徴
犬の耳は人の耳と大きく異なる点がいくつもあるため、人の耳と同じ感覚で扱ってしまうと思わぬ怪我を起こしてしまいます。
ここからは犬の耳の構造や耳垢の特徴を解説します。
そもそも犬の耳の構造はどうなっているか
犬の耳の構造として特徴的なのは耳道の形です。
耳道とは耳の穴から鼓膜までのことです。人の耳道は真っすぐ伸びているのに対し、犬はL字型になっています。
L字型の耳道は汚れが溜まりやすく、通気性もあまり良くないので細菌や真菌が増殖しやすい環境になりやすいです。
健康な耳垢の色や形状
正常、普通の犬の耳は以下のような状態です。
・触ってもサラサラとしているか多少湿っている、水っぽい程度
・耳垢があっても白色か薄茶色
しかし、個体差があるため、あくまで目安です。違和感を感じたら動物病院で診てもらいましょう。
病気の兆候として注意したい耳垢の状態
犬の耳の初期トラブルとして注意したい耳垢は以下のようなものです。
・黄色のベタベタした耳垢
・臭いにおいのする膿のような耳垢
・黒く量の多い耳垢
茶色いベタベタした耳垢は真菌(主にマラセチア)の感染が多いです。
マラセチアは健康な耳にも存在する常在菌でカビの仲間ですが、皮膚の状態が悪化すると異常繁殖して炎症を引き起こすことがあります。
黄色くベタベタしたりネバネバに感じる耳垢は脂漏症が多いです。
脂漏症とは皮脂腺から出る皮脂の量の調節がうまく行われずに発症する皮膚病の1つです。
皮脂腺は耳道にもあるため、皮脂の分泌が過剰になると細菌や真菌が増殖しやすい環境が整い、炎症が起きやすくなります。
臭いにおいのする膿のような耳垢は細菌(主にブドウ球菌)の感染が多いです。
ブドウ球菌は健康な犬の耳にも存在する常在菌の一種です。
マラセチアと同じで皮膚の状態悪化などで過剰に繁殖してしまうと炎症を引き起こすことがあります。
黒い塊で量の多い耳垢は耳ダニ(耳ヒゼンダニ・耳疥癬虫)による感染症が多いです。
耳垢が黒くなる原因として、耳ダニの糞が影響します。耳ダニの糞が耳垢に混ざると耳垢が黒くなり、大量に出るようになります。
犬の耳掃除は必要?
通常、犬の耳には自浄作用(自ら清浄する能力のこと)があるため、お手入れをする必要はありません。
しかし、耳の状態や皮膚疾患の有無によっては家でのお手入れが必要になります。
ですが過度なケアや間違った対処が原因で、耳の自浄作用がうまく働かなくなり、逆に悪化してしまうこともあるので注意が必要です。
耳トラブルの発生しやすさは犬種によって異なる
犬の耳のトラブルは垂れ耳の犬種のほうがなりやすい傾向があります。
理由は、垂れた耳が耳道の出入り口を塞ぐことで耳道の中が蒸れやすくなるからです。
長期間蒸れた耳道は外耳炎を発症しやすくなります。
耳毛の多い犬種も、耳毛に耳垢が絡まって溜まりやすく、耳道の状態が不衛生になりやすいです。
また、耳道が狭い犬種も耳道に汚れが溜まりやすく、注意が必要です。
犬種による耳の特性以外にも、分泌腺の異常や、犬アトピー性皮膚炎の好発犬種であるかも外耳炎の発生に関係します。
耳のトラブルに注意したい犬種
犬種特有の耳の形や体質によって耳のトラブルに注意したい犬種を紹介します。
耳毛の多い犬種
・ミニチュア・シュナウザー
耳道が狭い犬種
・パグ
分泌腺の異常
犬アトピー性皮膚炎の好発犬種
・シーズー
・ミニチュア・ダックスフンド
・フレンチ・ブルドッグ
・レトリバー種(ゴールデンやラブラドール)
などです。
しかし、これらの犬種はあくまで傾向が強いというだけで、他の犬種にはトラブルが発生しないわけではありませんので、参考程度としてください。
愛犬の耳を健康に保つために行いたいケア
犬の耳トラブル防止のためには、定期的なケアを行うと良いでしょう。ここからは具体的なケアの方法を紹介します。
週に1回程度愛犬の耳をチェックする
週に1度は耳の状態を確認するようにしましょう。その際のチェックポイントは
・耳垢の状態(色やにおい)
・耳の中が赤くなったりしていないか
です。
耳垢が多かったりにおいがする場合や赤み、耳垢がすぐたまるといった状態が確認できたときは一度獣医師に相談しましょう。
自宅で行う耳掃除の方法
自宅で耳掃除を行う手順は以下のとおりです。
耳掃除の始め方
2.耳洗浄液をコットンに染み込ませて耳の内側を毛の流れに沿って拭く
耳を触らせる→ごほうび、ふく→ごほうび、と、できた時にだけごほうびを与えながら徐々に慣れさせましょう。
3.耳の穴の周りも優しく拭き取る
4.コットンに汚れがつかなくなったら終了
5.愛犬をしっかりと褒めてあげる(場合によってはご褒美も効果的)
この方法は耳掃除に不慣れな子が、慣らしも兼ねて行う掃除法です。
耳掃除に慣れれば、コットンに染み込ませた耳洗浄液を耳の中に絞り入れたり、耳の中に直接耳洗浄液を入れる方法も行えるようになります。
しかしまずは耳掃除に慣れてもらわなければきちんとしたお手入れを行うことは難しいでしょう。
そのためには、焦らずゆっくりと耳掃除に慣れさせていくことが大切です。
愛犬の耳掃除を行う際の注意点
犬の耳掃除を行う時、以下の点に注意をしてください。
耳掃除の注意点
・綿棒は使わない
・強くこすらない
・頻繁にやらない
嫌がるのに無理に耳掃除を続けてしまうと、次の耳掃除には更に嫌がるようになります。
この流れを繰り返してしまうと、最悪の場合、耳を触らせてくれなくなりますので、決して無理強いはせず、ゆっくりとできる範囲から慣らしていってください。
綿棒の使用は、不慣れだと外に出かかっている耳垢を耳の奥に押し戻してしまうことがあるのでおすすめしません。
力や頻度に関しても、あまりやりすぎると耳の皮膚を痛めてしまうことがあるので、耳を傷めない程度の優しい力で行ってあげてください。
【放置は厳禁】愛犬がみせる獣医の診察をおすすめするサイン
外耳炎を悪化させないためには、早期発見・早期治療が重要です。下記の症状がみられる場合は放置せず診察にいくことをおすすめします。
診察をすすめるサインとしては
・痒がる
・耳の匂いがきつくなる
・耳に触ろうとすると嫌がる、怒る
・痛がる
・頭を振る
があります。
これらのサインを見逃さないためにも、日頃からよく観察することが重要です。
補足:犬の外耳炎・皮膚疾患におすすめのペット保険
アニコムに加入すると「腸内フローラ測定」を年一回無料で受けることができます。
「腸内フローラ測定」は犬の皮膚疾患の予防に役立てることができます。また測定結果によっては血液検査も無料で受けることができます。
弊社の商品の保険期間は1年間ですが、ご契約には「継続契約特約」を適用して引受をさせていただいておりますので、解約等のお申し出がない限り満期後は、原則ご契約は自動的に継続となり、終身ご継続いただけます。
※ご注意
・ご契約者または弊社より別段の意思表示があった場合には、ご契約は継続となりません。
・自動的にご契約が継続とならない場合や、商品改定により保険料、補償内容などが変更となる場合があります。
引用:重要事項説明書
補足:先天性疾患が発症する前に!遅くとも7.8歳までには加入しよう
ペット保険は、加入する前に発症している先天性疾患は補償の対象外となります。
そのため、病気になってから保険に加入しようとしても、肝心のその病気の治療費は補償の対象外になってしまいます。
また、加入後に発見できた病気であっても先天性疾患を補償の対象外としているペット保険や、慢性疾患にかかると更新できない保険もあります。
また一般的にペット保険では8~12歳で新規加入年齢を設定していることがほとんどです。早いところでは7歳で新規加入を締め切るペット保険もあります。
「健康なうちに加入しないと意味がない」「また年齢制限に引っかからないから保険の選択肢が広がる」という意味で遅くとも7~8歳までにはペット保険の加入、少なくとも検討をすることをおすすめします。
補足ですが、アニコムやプリズムコールではシニア向けのペット保険商品もあります。しかし保険料も高くなり、補償内容のグレードも普通のプランより下がってしまいます。
高齢・シニア向けのペット保険については下記の記事でも解説していますのでぜひ参考にしてください。
よくある質問
犬の外耳炎の治療費はいくらかかるの?
軽度であれば1000円〜3000円程度の治療費で収まるところが多いようです。
しかし、症状が進行している場合などは完治までにかかる時間も、必要となる薬も増えていくことが大半なので、治療費は高くなります。
アニコム損保「家庭どうぶつ白書2019」によると原因未定の外耳炎の1頭あたりの平均年間診療費は39,782円、細菌性外耳炎の1頭あたりの平均年間診療費は34,432円と出ています。
また病院によっても、検査費用や薬代などの費用設定は異なってくるのであくまで参考としてご覧下さい。
犬の耳掃除はどれくらいの頻度で行えばいいの?
犬の耳掃除の頻度は月1回が適切とされています。毎日はやりすぎです。
獣医師からの指示等、特別な理由がない限りは頻繁な耳掃除は逆効果になることがあるので注意が必要です。
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に入ることをおススメします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
【犬の耳垢が茶色い・臭い理由】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・耳のトラブルは垂れ耳犬種だけのトラブルではないこと
・犬の耳掃除は「耳を触られることに慣れる」ことから始めること
について解説してきました。
犬にとって耳はとても繊細で大切な器官です。
そのため、いざ問題が起こった時に触ろうとすると怒ってケアどころではないという子も少なくありません。
そうならないためにも、日頃のスキンシップの時間を上手に使って耳に触られることに慣れるようにしていきましょう。
ペット保険比較アドバイザーではペット保険に関する記事も掲載しておりますので、ぜひご活用ください。