この記事では
・外耳炎にかかりやすい犬種と予防法
・外耳炎の治療法と治療費
犬の外耳炎とは
犬の外耳(耳の入口から鼓膜までの間)に炎症がおこる、日常的に見られる耳の病気です。
犬の耳道は垂直部と水平部からなるL字型をしており、通気性が悪いので外耳炎をおこしやすいです。
【犬の外耳炎】症状と原因を解説
犬の外耳炎はごく一般的に見られるものでペット保険の請求件数でも上位三疾患に入っています。
ありふれた疾患ですが「耳が少し赤くなっているだけ」と軽く考えていると悪化して中耳炎や内耳炎なることもあり軽視できない疾患です。
なおかつ再発しやすく慢性化する傾向にあるのできちんと治療をしましょう。
【犬の外耳炎】の主な症状
・耳を後ろ足で掻く、耳を床にこすりつける
・耳の皮膚に湿疹ができる
・耳を触ると痛がる(炎症をおこしている場合)
・耳の毛が抜ける
・耳が悪臭がする、耳だれが出る
・(急性では)急にひどくなり、耳の水平道が赤く腫れる
・(慢性では)耳朶が厚くなり耳の軟骨も肥厚し耳道が狭くなる。色素沈着を起こし耳の皮膚の色が黒っぽくなる。
等
犬の外耳炎の症状はまちまちですが、耳を掻いたり頭を振るようなしぐさが見られたら耳の中を観察してみましょう。
次に犬の外耳炎の原因について説明します。
【犬の外耳炎】原因①アレルギー
⇒ 肉(牛・鶏・ラム)穀物(大豆・とうもろこし・小麦) 卵 乳製品 等
・接触性皮膚炎(植物や花粉等 薬品やシャンプー)等
植物、花粉などもアレルゲンになるのはヒトと同じですが、ヒトの場合だと例えば花粉に対するアレルギーなら「くしゃみや鼻水、目がかゆい」などという症状が一般的に知られています。
犬の場合皮膚に症状が出ることが特徴で、外耳炎を併発することがたびたびあります。
【犬の外耳炎】原因②細菌や真菌(カビ)
細菌や真菌が耳道で繁殖することで外耳炎が発症します。細菌感染の場合黄色のドロッとした耳垢が出て膿の匂いがします。真菌感染の場合耳垢は茶色で、独特の臭気がします。
【犬の外耳炎】原因③寄生虫(ダニ類)
① マダニ ⇒ 草木が多い場所に生息、最初は3ミリ程度と小さいのですが、耳朶の内側の淵などに噛みつきその場にとどまり吸血することで大きくなります。大きくなると小豆粒くらいに成長します。
② イヌミミヒゼンダニ(耳疥癬) ⇒ 耳に寄生するダニで外耳炎を引き起こす原因になります。外耳に寄生し卵を産み付け耳垢などをエサに繁殖していきます。放置すると炎症を起こして細菌やマラセチア等が増殖して重症化し、中耳炎や内耳炎に進行する場合もあるので注意が必要です。0.2ミリ程度と非常に小さなもので肉眼では見えません。
③ ニキビダニ ⇒ 犬の皮膚の毛穴に常在し、垢や皮脂をエサにして繁殖しています。通常ではトラブルはないのですが、全身状態が悪化したり免疫力が低下すると異常繁殖します。ヒゼンダニ同様小さくて肉眼では見えません。
【犬の外耳炎】原因④異物混入
・虫
・被毛
等
さまざまな物が耳の中に入って刺激をすることで耳に炎症を起こします。毛が硬く短い犬種では抜け毛が耳の中に入り、耳道を刺激した鼓膜に傷をつけることもあります。
【犬の外耳炎】原因⑤その他
・耳の構造的な問題(垂れ耳・耳道が狭い)など
・耳道に腫瘍やポリープができている場合 ⇒ 腫瘍が邪魔をして、耳垢が上手く外に出ることができず炎症をおこす。
・内分泌疾患 ⇒ 犬が高齢になると甲状腺機能が低下がよくみられる。甲状腺ホルモンが体の代謝を調節しているためその機能も低下し、皮膚の免疫力も下がり、外耳炎を引き起こす場合がある。
・綿棒などの誤ったケア ⇒ 耳垢を綿棒で取ろうとすると、耳垢が耳道の奥に入ってしまう場合があるので綿棒は使用しない。
犬の耳には自浄作用(マイグレーション)があり基本的には自分で耳を清潔に保つようにできています。
外耳炎を引き起こすような原因があっても予防する自然治癒の力を備えています。が、その自然治癒力が落ちると感染などを引き起こしやすくなります。
【犬の外耳炎】かかりやすい犬種を原因別に解説
犬の外耳炎は耳の構造や体質的なものが原因になる場合が多いです。
【犬の外耳炎】アトピーやアレルギーが多い犬
・ラブラドールレトリバー
・ゴールデンレトリバー
・柴犬
・シーズー
・チワワ
・フレンチブルドッグ
・パグ
・ウエストハイランドホワイトテリア
・ヨークシャテリア 等
アレルギー性皮膚炎は遺伝的な因子が関与するので、特定の犬種に好発する傾向にあります。
【犬の外耳炎】垂れ耳の犬
・トイプードル
・ダックスフンド
・パグ
・ビーグル
・アメリカンコッカースパニエル
・ボーダーコリー
・ラブラドールレトリバー
・ゴールデンレトリバー
・キャバリアキングチャールズスパニエル 等
犬の耳道はL字型をしており、もともと風通しが悪い上、垂れ耳の犬は耳朶が折れ曲がっているので普通の状態だと耳道は密閉状態となっています。
外耳炎など耳道にトラブルが生じやすく、発症すると必然的に治りにくくなります。
【犬の外耳炎】被毛(耳毛)が多い犬や剛毛な犬
《被毛(耳毛)の多い犬種》
・シーズー
・マルチーズ
・ヨークシャテリア
・トイプードル
・シュナウザー 等
《短毛・剛毛な犬種》
・パグ
・フレンチブルドッグ 等
耳毛が多い犬種は放置すると耳の中が見えなくなるくらい被毛が伸びたり密生してきます。もちろん通気性も悪くなってしまい、耳のトラブルがあっても気づきにくいでしょう。
【犬の外耳炎】脂っぽい体質の犬
・ラブラドールレトリバー
・シーズー
・ダックスフント
・トイプードル
・フレンチブルドック
・ボストンテリア
・チワワ
・キャバリアキングチャールズスパニエル
・アメリカンコッカースパニエル 等
脂っぽい体質の犬は脂漏症(皮膚がべたついたりフケが増える)になりやすく、脂漏症になると皮膚がより脂っぽくなります。
そうすると湿度や脂を好むマラセチア(常在菌の一種)が増殖し、皮膚の表面を刺激して炎症を起こし痒みが強くなります。
【犬の外耳炎】予防方法を紹介
ここでは犬の外耳炎の予防方法をご紹介します。
定期的な耳掃除
犬の耳には自浄作用があり、溜まった耳垢は自然に外に押し出される仕組みになっています。
外耳炎が自然に治る場合もありますが、それは自浄作用が働いているためです。立ち耳の犬は通常は特に耳掃除の必要はありません。
その他の「外耳炎を起こしやすい犬種」では月に一回程度耳掃除をします。方法としてはイヤークリーナーを耳に数滴たらし、耳の根元をつまんでっ数回もみ、そのあとガーゼなどで優しくふきとりましょう。
犬も耳に違和感があるので頭を振って水分を外に出そうとします。湿らせたコットンでふき取るだけでも耳掃除になります。犬の耳掃除専用シートも販売されているので使用すると便利です。
清潔にしたくて、身近にある消毒用のアルコールを使用したくなりますが、アルコールを使用すると常在菌までがいなくなる危険性があり、皮膚のバリア機能に影響を及ぼすので注意しましょう。
耳の毛のカット
耳毛の多い犬では定期的にカットしないと、耳の中に被毛が密生してしまいます。
そうなると耳の中の様子も観察できず、通気も悪く蒸れてしまうので定期的にカットしましょう。
定期的な検診
耳の入り口辺りは見えるので異変があれば気付きますが、耳の水平道は外からでは見えません。外耳炎は再発することが多く、慢性化しやすい疾患です。
特に外耳炎を発症したことがある犬は、定期的に検診を受け早期発見・早期治療につなげましょう。
アトピー・アレルギーの予防
アレルギーのある犬は皮膚や耳を過度に掻かないようにかゆみ止めを処方してもらいます。
食物アレルギーで、アレルゲンがわかっていれば適切なドッグフードに切り替えたり、おやつにも注意を払いましょう。
【犬の外耳炎】治療方法と治療費を紹介
犬の外耳炎の治療法は、ごく軽度の場合は簡単に点耳薬のみを処方されることもありますが、基本的な治療方法をご紹介します。
先ず検査を行い状態を把握する必要があります。
【犬の外耳炎検査・治療】
外耳炎の治療は耳の中をきれいにし(耳洗浄)、原因になっているものに対して有効な治療薬を使用します。主に点耳薬(場合によっては飲み薬)を使用します。
また炎症がひどく外耳道が腫れている場合はステロイド剤を使用し、炎症を抑えることもあります。
点耳薬を処方してもらうと自宅治療ができるのですが、犬が点耳を嫌がり飼い主さんがうまく点耳できない場合は粘性の強い点耳薬を動物病院で入れてもらえば効果が長持ちするので毎日使用必要がありません。
治療に関しては「治った」と自己判断をせずに動物病院で確認してもらいましょう。
なかなか治らない場合は、もしかしたら原因が特定できていないのかもしれません。例えばダニが原因の場合、駆虫薬を使用しなければ根本の解決にはなりません。安易に市販薬等使用するのはおススメめできません。
犬の外耳炎の治し方は市販薬で対応をするのではなく、きちんと動物病院を受診して治療することが重症化を防ぐためにも不可欠です。
軽度の場合は1週間程度でよくなりますが、炎症が強かったり、慢性化して繰り返す外耳炎は治療期間も長くなります。
さらに進行すると中耳炎や内耳炎も併発し、犬の耳が「聞こえない」状況に陥ることもあります。
犬の外耳炎検査・治療は次のような手順で行われます。
・ 問診や触診
・ 耳の周りや中の状況を検査(耳鏡検査)⇒ 炎症の程度 鼓膜の状態 異物の有無
・ 必要に応じて耳洗浄(鼓膜が破れていないか確認後)洗浄液を使いながら耳垢や膿などを取り除く。こうすることで点耳薬の効果が上がる
・ 発症原因や症状のレベルに合わせたアプローチ 耳垢の細菌検査 等
・ 薬の処方 点耳薬が主(内服薬を併用することもある) 先ずは炎症を抑えて痒みを取り除く治療 併せて原因に対する治療
・ 必要に応じてCT・MRI・ビデオオトスコープなどの画像診断
・ 場合によっては手術が必要なこともある
【犬の外耳炎 実際の治療費】
例① 外耳炎治療(トイプードル 3歳 通院1回で治った例)
診察 | 500円 | |
処置 | 800円 | |
処方 | 1700円 | |
合計 | 3000円 |
早期に受診すれば3000円~5000円程度の治療費ですみますが、重症化すると長引き、治療費用も高額になってしまいます。
例② 通院7回・耳洗浄4回・血液検査やレントゲン検査。点滴や抗生剤の注射などが必要になった場合の治療費例では5万円程度かかっています。また、加えて腫瘍があったり耳道切除をしなければならない場合、さらに10~15万円程度が必要になってきます。
このように、重症化すると犬にも負担がかかり、飼い主さんも高額な治療費を支払うことになります。
補足:犬の外耳炎・皮膚疾患におすすめのペット保険
アニコムに加入すると「腸内フローラ測定」を年一回無料で受けることができます。
「腸内フローラ測定」は犬の皮膚疾患の予防に役立てることができます。また測定結果によっては血液検査も無料で受けることができます。
2年目以降のご契約継続について
弊社の商品の保険期間は1年間ですが、ご契約には「継続契約特約」を適用して引受をさせていただいておりますので、解約等のお申し出がない限り満期後は、原則ご契約は自動的に継続となり、終身ご継続いただけます。
※ご注意
・ご契約者または弊社より別段の意思表示があった場合には、ご契約は継続となりません。
・自動的にご契約が継続とならない場合や、商品改定により保険料、補償内容などが変更となる場合があります。
引用:重要事項説明書
補足:先天性疾患が発症する前に!遅くとも7.8歳までには加入しよう
ペット保険は、加入する前に発症している先天性疾患や既に発症している病気や疾患は補償の対象外となります。
そのため、病気になってから保険に加入しようとしても、肝心のその病気の治療費は補償の対象外になってしまいます。
また、加入後に発見できた病気であっても先天性疾患を補償の対象外としているペット保険や、慢性疾患にかかると更新できない保険もあります。
また一般的にペット保険では8~12歳で新規加入年齢を設定していることがほとんどです。早いところでは7歳で新規加入を締め切るペット保険もあります。
「健康なうちに加入しないと意味がない」「また年齢制限に引っかからないから保険の選択肢が広がる」という意味で遅くとも7~8歳までにはペット保険の加入、少なくとも検討をすることをおすすめします。
補足ですが、アニコムやプリズムコールではシニア向けのペット保険商品もあります。
高齢・シニア向けのペット保険については下記の記事でも解説していますのでぜひ参考にしてください。
よくある質問
犬の外耳炎の治療費はどれくらいかかりますか。
外耳炎の治療中ですがペット保険に加入できますか
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に入ることをおススメします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
【犬の外耳炎・治療と治療費】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・外耳炎に罹りやすい犬種と予防法
・犬の外耳炎の治療法・治療費