・てんかんの治療法と治療費
・てんかんの緊急を要する症状
「てんかん(Epilepsy)」とは
大脳の一部分、または全体が異常に興奮することで痙攣などの発作を繰り返す脳の病気です。24時間以上の間隔をあけて少なくとも2回以上の発作が認められるものを指します。
症状は発作を起こす場所により異なります。罹患率は1%程度と珍しい疾患ではありません。犬に多いのは原因の特定できない「特発性てんかん」です。
犬の「癲癇(てんかん)」の原因は?
犬のてんかんは原因によって大きく二つに分類されます。
【てんかんの原因による分類】
・特発性てんかん
犬の「てんかん」の症状(発作の種類、緊急度など)
てんかんの発作、発作の前兆や発作後の症状は多種多様です。
犬の「てんかん」の症状①【大発作】
大発作(全般発作)の代表的な症状は「突然意識を失い、横になり手足を痙攣させる全身性の発作」です。
焦点部分発作から始まり、全般発作へ移行することもあります。通常意識はなく、飼い主の呼びかけにも反応はありません。四肢が緊張し強く突っ張ってしまう発作を強直性発作と言います。四肢が遊泳するようにリズミカルに動く間代性発作、両方が続いて起こる強直間代性発作が、一般的な大発作の症状です。
筋肉が硬直して口がうまく開かないため、息が荒い場合の呼吸音が悲鳴のような鳴き声に聞こえることもあります。
また、よだれや失禁などの症状が同時に見られることも多いですが、多くは2~3分以内で発作はおさまります。
大きな発作の後も、元気がない・歩き回る・呼びかけに反応が鈍い・ふらつく、などの発作の後遺症がしばらく続くことがあります。
通常このような症状は時間とともに完全に消失します。症状が消えた後に水をたくさん飲んだり、食欲が増す犬もいます。
犬の「てんかん」の症状②【小発作】
てんかんにはいくつかの分類方法があり、呼び方も変わってきます。小発作とは大発作に対応する呼び方で焦点発作・部分発作・焦点部分発作とも呼ばれ、短時間で終わる発作です。全般性発作と違って全身がけいれんしたりするわけではなく、体のある場所だけが起こす発作です。
脳の一部分が興奮することによって起こるタイプのもので、運動性発作・自立神経性発作・行動発作に分類されますが、発作の発生部位によって症状が変わります。
例えば、自立神経を司る領域で発作がおこれば「瞳孔が開く・流延」などがみられます。
その他運動性発作や行動発作では、前足だけがけいれん・咀嚼運動(チューインガム発作)・顔面けいれん・チック・ぐるぐる回る尾追い行動などもあります。
犬の「てんかん」の症状③【群発発作】(緊急度あり)
群発発作とは「発作が24時間以内に2回以上おこる」状態を言います。発作と発作の間では意識もしっかりしており、正常な状態に戻っています。発作回数が多くなると緊急度が高くなります。
犬の「てんかんの症状」④ 重積発作(緊急度大)
重積発作とは発作が5分以上継続する場合、発作が終って正常な状態に戻る前に次の発作が連続して起こる場合をいいます。発作自体が脳神経を傷つけ、さらに発作をひきおこす悪循環も生じます。重い重積発作の場合は突然死・急死に発展する可能性もあります。
犬の「てんかん」の後遺症は?
てんかん発作がおきても、短時間で終わり普通通りの生活を送っていれば後遺症などもなく時に問題はありません。また、一般的な発作は寿命にも影響は及ぼしません。
注意すべきは一日に何回も発作の起こる「群発発作」と発作が終っても正常に戻らないうちにまた発作の起こる「重積発作」です。重積発作と重篤は群発発作(一日に5~10回の発作がおこる)では、最悪の場合命を落とすこともある緊急性のある状態です。
長時間の発作の重積は脳や心臓、循環器系、筋肉、腎臓、肺や呼吸器に障害が残る場合もあり、最終的には重篤な脳圧亢進や心筋虚血、多臓器不全などで死ぬこともあります。
犬の「てんかん」の検査方法と診断は?
けいれん発作がおこった場合、まずは症候性てんかんの原因となる病気が存在していないかを検査していきます。具体的には身体検査、神経学的検査、血液検査や画像検査(レントゲン、超音波エコー検査)を行います。
これらの検査で原因が判明できない場合や、脳や脊髄などの神経系に問題があると考えられる場合にはMRI検査や脳脊髄液検査などを行います。
様々な検査を行った結果、特に何も異常が発見されなかった場合に、特発性てんかんと診断をつけます。
犬や猫で行われるてんかん診断のための検査は「除外検査」です。検査により発作の可能性のある疾患を除外していきます。必ずしも高額な費用のかかるMRIや脳脊髄液検査を行うとは限りません。状態をみて推測し、判断をすることもあります。
発作の様子をスマホで動画撮影をして、さらに日時や継続時間など細かく記録すると診断に役立ちます。
人間であれば脳波検査が必須で「てんかん波」が確認できれば「てんかん」と診断することができます。手軽にでき、体への負担もない検査ですが、犬の場合は鎮静も必要になり、そもそも脳波検査のできる病院が限られています。費用も3~5万円と高額です。
犬の「てんかん」の治療法や治療費(薬の値段)は?
てんかんの治療は主に抗てんかん薬の内服治療となります。一度治療を始めると終生治療が必要になります。また効果を確認するための血液検査(薬の血中濃度測定)が定期的に必要になります。
アニコム「みんなのどうぶつ病気大百科」によると、てんかんの平均年間通院回数は5回程度で、1回の費用は7236円となっています。もちろん犬の大きさや状態・薬の種類によっても治療費は大きく異なるでしょう。
ちなみに猫の場合になりますが、年間の薬代はゾニサミドが35000円、ジアゼパム43000円など愛猫のてんかん治療費を公開しているブログ記事があります。犬は猫よりも大きいのでもう少し高くなるかもしれませんが、参考になるでしょう。
発作の回数が多い場合など、獣医師と相談し痙攣時に使用する座薬や点鼻薬など処方してもらえる場合もあります。
犬の「てんかん」に予防法はある?
犬のてんかんはまだ原因がはっきりしていない部分が多く、したがって直接的な予防法はありません。強いていうならてんかんを発症した犬を繁殖に使用しないことでしょう。特発性てんかんは「遺伝性」「おそらく遺伝性」「特発性」に分類されるように遺伝的要素も大きいものです。
てんかんは、薬が合えば、発作の回数や重積発作を予防することはある程度可能です。
その他、食事やサプリメントなどが挙げられる場合もありますが、あくまでも補助的なものです。
またローズマリー等、脳を活性させる食品との相性が悪いので注意が必要です。
てんかんになりやすい犬種や年齢は?高齢だとなりやすいのか
・ゴールデンレトリーバー
・ラブラドールレトリーバー
・ビーグル
・シェパード
・ボーダーコリー
・ミニチュアダックスフンド
・トイプードル
・チワワ
特にチワワの代表的な病気のひとつに水頭症があり、それに伴いてんかん発作が起こりやすいといった特徴があります。
チワワの発症確率が高いとされる水頭症とは、『神経疾患』と呼ばれる脳の疾患のひとつです。
水頭症は脳脊髄液が脳室内に異常に増えることで脳が頭蓋骨側に圧迫され、脳障害を発症する病気です。
てんかんの原因の中に脳障害が挙げられることからこの水頭症も脳障害であるため、てんかん発作をおこす原因になる病気のひとつとして知られています。
このことからチワワがてんかんになりやすいことが分かります。
上記のようなてんかんになりやすい犬種はあるものの、年齢は関係ありません。
高齢だからといっててんかんになりやすいというわけではなく、若くてもてんかんになることがあります。
チワワに代表される水頭症は生後3ヶ月~半年の間に様々な神経症状を引き起こすと言われており、むしろ幼齢期にてんかんの発作が起こる可能性の方が高くなります。
若いから大丈夫と油断は禁物です。
補足:てんかんを補償しないペット保険もある
たいていのペット保険でてんかんは補償されます。しかし中には補償の対象外としているところもあるので重要事項説明書や約款を確認しましょう。
ペット保険は1年の契約となり1年ごとに更新を行う必要があります。その際、次の年から特定の病気は補償の対象外とする条件が付くことがあります。
てんかんは長期の治療が必要になるため、次年度からは補償しないという旨の条件が付いてしまう可能性があります。
そこでペット保険比較アドバイザーでは、てんかんに対しておすすめのペット保険をご紹介します。
おすすめの理由としては、
・更新時に条件を付けないペット保険の中でも、通院に強い
の2点があります。
おすすめの理由としては、上記の条件を満たしているペット保険である事、そしてもちろん、犬のてんかんを補償の対象としているペット保険であり、通院補償も他社より比較的充実しています。
てんかんの治療を考えると、一番おすすめはアニコムです。
アニコムに関しては窓口精算や年一回無料で受けられる腸内フローラ測定等、付帯サービスがしています。
メリット | デメリット | |
・「腸内フローラ測定」等の予防型サービスも付帯 ・通院補償は一日当たり14,000円×年20日まで(補償割合70%プラン) ・窓口精算可能 |
保険料が高い
※健康割増引制度により保険の利用状況によって割増引の適応【可】 |
2年目以降のご契約継続について
弊社の商品の保険期間は1年間ですが、ご契約には「継続契約特約」を適用して引受をさせていただいておりますので、解約等のお申し出がない限り満期後は、原則ご契約は自動的に継続となり、終身ご継続いただけます。
※ご注意
・ご契約者または弊社より別段の意思表示があった場合には、ご契約は継続となりません。
・自動的にご契約が継続とならない場合や、商品改定により保険料、補償内容などが変更となる場合があります。
引用:重要事項説明書
補足:先天性疾患が発症する前に!遅くとも7.8歳までには加入しよう
ペット保険は、加入する前に発症している先天性疾患は補償の対象外となります。
そのため、病気になってから保険に加入しようとしても、肝心のその病気の治療費は補償の対象外になってしまいます。
また、加入後に発見できた病気であっても先天性疾患を補償の対象外としているペット保険や、慢性疾患にかかると更新できない保険もあります。
また一般的にペット保険では8~12歳で新規加入年齢を設定していることがほとんどです。早いところでは7歳で新規加入を締め切るペット保険もあります。
「健康なうちに加入しないと意味がない」「また年齢制限に引っかからないから保険の選択肢が広がる」という意味で遅くとも7~8歳までにはペット保険の加入、少なくとも検討をすることをおすすめします。
補足ですが、アニコムやプリズムコールではシニア向けのペット保険商品もあります。しかし保険料も高くなり、補償内容のグレードも普通のプランより下がってしまいます。
高齢・シニア向けのペット保険については下記の記事でも解説していますのでぜひ参考にしてください。
よくある質問
犬のてんかんは発作がおこらなければ薬もやめてよいのでしょうか?
痙攣発作時の座薬の入れ方を教えてください。
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
ペット保険比較アドバイザーでは公式LINEでの「ペット保険の適正診断」「保険相談サービス」を開始いたしました。
従来の比較表だけではわかりづらいペット保険の補償内容の範囲や充実度を踏まえたうえで、保険の募集人資格 を持った、ペット保険のプロが提案させていただきます。
【犬はてんかんで死亡することはある?てんかんの症状や危険度を解説】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・てんかんの治療法と治療費
・てんかんの緊急を要する症状