てんかんの対処法や付き合い方が分かるようになっていますのでぜひ参考にしてください。
犬にてんかんがあるのを知っていますか?
この記事では
・てんかんの治療方法は投薬だけ
犬のてんかんとは
てんかんとは脳神経細胞のバランスが崩れ過剰に放電(興奮)されることで引き起こされる脳の病気です。
犬の脳神経細胞には興奮を伝える細胞と興奮を抑える細胞があります。
普段はバランスを取り合って情報を伝達しているのですが、それが乱れると突然過剰な放電を起こします。
その結果痙攣を伴う発作を引き起こすといわれています。
犬のてんかんとは?原因や症状
犬のてんかんは慢性の脳の病気です。
決して珍しい病気ではなく、100頭に1頭の割合で起こります。
急にぶるぶる震えだしたり、嘔吐や失禁、立てなくなるなどいつもと様子が違うことでてんかんに気づくことが多くあります。
犬のてんかんの前兆や特徴、定義
てんかんの発作は部分的もしくは全身に痙攣が起こるのが特徴です。
犬によって痙攣の部位も症状の度合いも違いがあります。
加えててんかんは『反復性発作』です。発作が繰り返す(反復する)ことでてんかんと診断されます。
そのためてんかんと診断されたら今後発作が繰り返されることを覚悟しておく必要があります。
そんな犬のてんかんには前兆がある場合があります。
てんかんの前兆
・そわそわしたり、ウロウロして落ち着かない
・よだれを垂らす
・飼い主の側を離れない
・鼻を鳴らす
・どこかに隠れようとする
このような前兆が表れた後、痙攣するなどのてんかん発作を数秒~2、3分程度繰り返します。
てんかんの前兆が分かれば発作に備えることができるでしょう。
犬のてんかんの原因や原因別の種類
犬のてんかんは2種類に分類されています。
・症候性てんかん
特発性てんかん
特発性てんかんは一般的な検査では原因が分からず、遺伝的な要因が大きいのではないかと言われています。
「真性てんかん」や「原発性てんかん」と呼ばれることもあり、犬の発作の原因として最も多く見られるものです。
特発性てんかんの初発年齢は6ヶ月~5歳で、多くは2〜3歳までに発症します。
一般的な検査を行っても異常が見つからないのが特発性てんかんの特徴です。
そのためてんかん発作に加えて、血液検査やレントゲン検査などで症候性てんかんの原因が除外されると特発性てんかんと仮診断されます。
症候性てんかん
症候性てんかんは脳の疾患に伴いてんかん発作が起こるのが特徴です。
例えば脳炎や脳腫瘍、水頭症のほか、事故による頭部の外傷が原因でてんかん発作を引き起こします。
そのため原因となる病気にかかってからてんかんを発症します。
てんかんの症状は?発作の代表例
大きな痙攣を伴う発作から局所的な症状しか示さない小さな発作など、てんかん発作といっても症状はさまざまです。
ここでは代表的なてんかんの発作を2つご紹介します。
・全般性てんかん発作
身体の一部だけに発生する『焦点性てんかん発作』
焦点性てんかん発作は脳の局部で異常発火(てんかん放電)が発生した状態です。
発火が発生した箇所によって発作の症状が異なります。症状は身体の一部で見られ、行動に現れることもあります。
・顔のけいれん
・繰り返し頭を突き出す
・リズミカルに瞬きする
・リズミカルに四肢を動かす
・不安がる
・落ち着きをなくす
・何かを恐れる
・異常に注目を集めようとする
・飼い主に追いすがる
この焦点性てんかん発作は意識は正常なことが多いのが特徴です。
手足を痙攣させる全身性の『全般性てんかん発作』
犬で最も一般的なてんかん発作で、私たちがてんかん発作としてよく知る症状でしょう。
全般性てんかん発作が起こっているとき、脳内では異常発火が右脳と左脳を含む脳の広い領域で発生しています。
・身体が緊張し強く突っ張る
・4本の足が遊泳するようにリズミカルに動く
・何かに取り憑かれたように突然攻撃行動を起こす
・自分のしっぽを追いかけてくるくる回る尾追い行動
普段は大人しい犬が突然攻撃的になったりしっぽを追いかける尾追い行動はてんかんが関係していると言われています。
上記の症状に加えてよだれや失禁などの症状が同時に発症するケースも多々あります。
またこの全般性てんかん発作では発作が起きる前の「前兆」が見られることがあります。
前兆だと思われる様子が見られたら、危険なものは動かしておくなどの対策をしておきましょう。
てんかんの検査方法
犬のてんかんと診断するための検査は3段階に分かれます。
②MRI検査・脳脊髄液検査
③脳波測定
①問診・血液検査・尿検査・X線検査・超音波検査
内臓の異常が原因でてんかん発作が起きていないかを確認するためです。
ほとんどの動物病院で行うことができる検査です。
②MRI検査・CT検査・脳脊髄液検査
この検査で脳に異常があるかどうかを調べます。
これらの検査は対応できる設備が整っている動物病院のみになります。
③脳波測定
この脳波検査は特発性てんかんを診断するための唯一の方法です。
脳波検査ができる施設は日本国内でも大学病院を除くと数か所しかありません。
症候性てんかんであれば1段階目と2段階目の検査で原因となる疾患が分かります。
もし原因が分からない場合には3段階目の脳波検査で特徴的な脳波を検出することで特発性てんかんと診断することができます。
MRI検査や脳脊髄液検査、脳波検査は設備が整った動物病院でないと検査してもらうことはできません。
さらにこれらの検査では全身麻酔が必要になるため、費用面や体力面などを考慮してどこまで検査を行うかを決定することが重要です。
犬のてんかんの治療法や治療費、予防法を詳しく解説!
ここではてんかんの治療方法や、その費用や期間を説明していきます。
てんかんの投薬等の治療、治療費用
てんかんは『抗てんかん薬』という発作の回数を減らしたり、発作の症状を軽くしたりする薬が有効とされています。
脳腫瘍や脳炎など脳疾患が原因の症候性てんかんは、それらの障害を治療することによって発作が収まる可能性もあります。
しかし特発性てんかんだと完治が難しくなります。
そのため完治させるための治療ではなくてんかん発作を抑えるための治療を行います。
てんかんは発作が起こると脳の損傷が起こるため、できるだけ発作の頻度を下げなければいけません。
ただし抗てんかん薬は強い薬です。薬の副作用で肝障害が出ていないか、薬の血中濃度などを調べるため度々血液検査を行う必要があります。
血液検査やてんかん発作の頻度を照らし合わせて、獣医師は投薬量の調節をします。
継続的な治療が必要なてんかんですが、果たしててんかん治療の費用はどれくらいかかるのでしょうか。
実は動物病院は自由診療ということから定価が存在しません。
そのため病院によって治療費が異なります。
おおよその相場だと下記のようになります。
初診・再診費 | 1,500円程度 |
血液検査費用 | 5,000円~10,000円程度 |
心電図・レントゲン検査 | 10,000円程度 |
薬代 | 5,000円~10,000円程度(ひと月分) |
CT・MRI検査費用 | 30,000円~100,000円程度 |
脳脊髄検査費用 | 10,000円~20,000円程度 |
症状が安定するまで1~2ヶ月に1回の通院と血液検査が必要なため定期的に治療費が発生します。
CT・MRI検査、脳脊髄検査などは検査してもらえる動物病院が限られていることから設備が整った病院へ行く必要があります。
そのためこれらの検査を受けるか否か選択が可能なのですが、もしこの検査を行ったとすると上記の費用が発生します。
ちなみにこの検査を行うためには全身麻酔をかけなければいけないため麻酔の代金が別途でプラスされます。
このようにてんかんは高額な治療費が発生します。
さらに特発性てんかんだと完治は難しいことからてんかん発作の頻度を減らすために薬を飲み続ける必要があります。
犬のてんかんの薬の値段だけを考えても安いものではありません。
てんかんの治療費が家計の負担にならないよう、愛犬が元気なうちにペット保険に加入しておくと安心かもしれません。
てんかん発作の予防は?動物病院の指示に従って投薬を続けよう
てんかんは原因が解明されていない病気です。そのため明確な予防方法というものはありません。
ただし愛犬がてんかん発作を起こすきっかけやタイミングなどは分かる可能性があります。
それが分かれば環境を見直すことで対応できます。
・梅雨や台風などの気象条件によって
・ドアのチャイムやテレビなど大きな音がきっかけ
大きな音がきっかけなら犬の様子を見ながら音量を調整するなどの工夫をするといいでしょう。
犬によっては日光の刺激によって発作が起きることもあります。
そのような場合には
・照明の明るさを見直す
・散歩の時間を変える
など気を配るようにします。
それでもてんかん発作が起こったら動物病院での指示通りに投薬を続けることが重要になってきます。
薬の値段が高いからと勝手に投薬をやめてしまうと、途端にてんかん発作が起こる可能性があります。
てんかん発作は起こるたびに脳がダメージを負ってしまいます。投薬は愛犬の命を守る大事な行為です。
また定期的な検査代を浮かせるためにと無断で同じ薬を使い続けることも危険です。
てんかんの薬には数種類あり、中には肝障害を引き起こすものもあります。
血液検査で薬の血中濃度を検査しながら適量の投薬を続けることが、てんかん発作の予防方法となります。
てんかんになりやすい犬種や年齢は?高齢だとなりやすいのか
・ゴールデンレトリーバー
・ラブラドールレトリーバー
・ビーグル
・シェパード
・ボーダーコリー
・ミニチュアダックスフンド
・プードル
・チワワ
特にチワワの代表的な病気のひとつに水頭症があり、それに伴いてんかん発作が起こりやすいといった特徴があります。
チワワの発症確率が高いとされる水頭症とは、『神経疾患』と呼ばれる脳の疾患のひとつです。
水頭症は脳脊髄液が脳室内に異常に増えることで脳が頭蓋骨側に圧迫され、脳障害を発症する病気です。
てんかんの原因の中に脳障害が挙げられることからこの水頭症も脳障害であるため、てんかん発作をおこす原因になる病気のひとつとして知られています。
このことからチワワがてんかんになりやすいことが分かります。
上記のようなてんかんになりやすい犬種はあるものの、年齢は関係ありません。
高齢だからといっててんかんになりやすいというわけではなく、若くてもてんかんになることがあります。
チワワに代表される水頭症は生後3ヶ月~半年の間に様々な神経症状を引き起こすと言われており、むしろ幼齢期にてんかんの発作が起こる可能性の方が高くなります。
若いから大丈夫と油断は禁物です。
犬のてんかんと付き合っていくには?対処法や注意点を解説!
愛犬が特発性てんかんと診断されたら、てんかんとは長い付き合いになります。
てんかんが起きるたびに愛犬の脳は損傷を受けるためできるだけてんかんを引き起こさないことが重要です。
またもしてんかん発作が起きてもあわてず冷静に対処することが大事です。
てんかんの対処法は?食事等のてんかん発作が出る時を観察しよう
発作のきっかけは犬によって違いがあり、中には食事前に決まって発作が起きる犬もいます。
何をきっかけとしててんかん発作が起きるのか、愛犬をしっかり観察する必要があります。
そのきっかけが分かればてんかん発作が起きないように工夫ができます。
それでももしてんかん発作が起きたとき、飼い主はどう対処したらいいのでしょうか。
愛犬に発作が起きた場合には4つのポイントに注意して対応します。
②大声を出さない
③ケガをしないように片付けておく
④獣医師に相談できるよう発作の様子を撮影・メモしておく
①犬の体に障ったり、無理に起こそうとしない
犬が錯乱状態に陥っていたり意識がもうろうとしているときに触ると噛まれる危険があります。
発作が落ち着くまではむやみに触ったり起こそうとしたりしないでください。
ただし嘔吐などの症状が見られるときは気道の確保や嘔吐物を取り除く必要があります。
嘔吐物が気道に詰まって呼吸困難で死亡に繋がらないようにするためです。
嘔吐物を取り除く際、飼い主は指を噛まれないよう注意しましょう。
②大声を出さない
愛犬が発作を起こすと心配で慌てて大声で声を掛けたくなりますが、発作中の犬に大声は禁物です。
脳に刺激を与えてさらに症状を悪化・継続させるおそれがあります。
できるだけ刺激を与えないようにして発作がおさまるまで静かに見守るようにしましょう。
③ケガをしないように片付けておく
てんかん発作を起こす場所によってはぶつかってケガをしたり上からものが落ちてきたりします。
発作の前兆が見られたら階段に続くドアを閉めたりなどして危険な場所に行かないようにしましょう。
障害物になりそうなテーブルなど動かすことが出来そうなものは片付けます。
壁などぶつかりそうな場所だけでも柔らかいクッションやマットレスなどを一時的に立てかけておくとケガ防止になります。
一度でも愛犬がてんかん発作を起こしたことがあるのであれば、日ごろから愛犬が過ごす場所を片づけておくことが大切です。
できるだけスペースを広く取っておき、安全性の確保に努めることが重要となります。
④獣医師に相談できるよう発作の様子を撮影・メモしておく
てんかん発作は発作の様子が治療の手助けになることがあります。
そのため、辛いかもしれませんが発作時の愛犬を動画に収めてください。
可能であれば動画で撮る際は
・体全体(痙攣の様子を確認するため)
このふたつがあると獣医師が判断しやすいでしょう。
てんかんは異常がある場所で症状が異なります。
痙攣中の犬の動きで脳のどの部分に異常が出ているかが分かるきっかけとなります。
もし動画の撮影が難しい場合は、発作やけいれんの様子や長さ、症状が起きたときの時間帯や天気、状況などをわかる範囲でメモしておくと治療の手助けになります。
補足:てんかんを補償しないペット保険もある
ほとんどのペット保険でてんかんは補償されます。しかし中には補償の対象外としているところもあるので重要事項説明書や約款を確認しましょう。
ペット保険は1年の契約となり1年ごとに更新を行う必要があります。その際、次の年から特定の病気は補償の対象外とする条件が付くことがあります。
てんかんは長期の治療が必要になるため、次年度からは補償しないという旨の条件が付いてしまう可能性があります。
そこでペット保険比較アドバイザーでは、てんかんに対しておすすめのペット保険を2社ご紹介します。
おすすめの理由としては、
・更新時に条件を付けないペット保険の中でも、通院に強い
・加入後に発症した先天性疾患も補償
の3点があります。
おすすめの理由としては、上記の条件を満たしているペット保険である事、そしてもちろん、犬のてんかんを補償の対象としているペット保険であり、通院補償も他社より比較的充実しています。
アニコムに関しては窓口精算や年一回無料で受けられる腸内フローラ測定等、付帯サービスも含めて補償内容が充実しています。
アイペットも窓口精算を兼ね備えており、12歳以上の保険料の値上がりが無く、生涯加入しやすい保険料設定になっています。
当社保険は保険金のお支払いを理由として、契約の継続をお断りすることはございません。終身でご継続いただけます。
引用:アイペットHP よくある質問「保険金が支払われた場合に、契約が継続ができないことはありますか?」
弊社の商品の保険期間は1年間ですが、ご契約には「継続契約特約」を適用して引受をさせていただいておりますので、解約等のお申し出がない限り満期後は、原則ご契約は自動的に継続となり、終身ご継続いただけます。
※ご注意
・ご契約者または弊社より別段の意思表示があった場合には、ご契約は継続となりません。
・自動的にご契約が継続とならない場合や、商品改定により保険料、補償内容などが変更となる場合があります。
引用:重要事項説明書
償内容やそれぞれのデメリット等がより気になる場合は下記の記事を参考にしてください。
補足:先天性疾患が発症する前に!遅くとも7.8歳までには加入しよう
ペット保険は、加入する前に発症している先天性疾患は補償の対象外となります。
そのため、病気になってから保険に加入しようとしても、肝心のその病気の治療費は補償の対象外になってしまいます。
また、加入後に発見できた病気であっても先天性疾患を補償の対象外としているペット保険や、慢性疾患にかかると更新できない保険もあります。
また一般的にペット保険では8~12歳で新規加入年齢を設定していることがほとんどです。早いところでは7歳で新規加入を締め切るペット保険もあります。
「健康なうちに加入しないと意味がない」「また年齢制限に引っかからないから保険の選択肢が広がる」という意味で遅くとも7~8歳までにはペット保険の加入、少なくとも検討をすることをおすすめします。
補足ですが、アニコムやプリズムコールではシニア向けのペット保険商品もあります。しかし保険料も高くなり、補償内容のグレードも普通のプランより下がってしまいます。
高齢・シニア向けのペット保険については下記の記事でも解説していますのでぜひ参考にしてください。
よくある質問
犬のてんかんはペット保険で補償されますか
少数ではありますが、犬のてんかんを補償の対象外としているペット保険もあります。
重要事項説明書や公式HP内の保険金をお支払いできない事例等で確認しましょう。
犬のてんかんは治療すれば治りますか?
脳の病気に伴う症候性てんかん発作だと、原因を治療すればてんかんも治る可能性はあります。
しかし特発性てんかん発作は完治が難しく、一生付き合っていかなければいけない可能性が高くなります。
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に入ることをおススメします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
【犬のてんかんは治療費はいくら?原因と対処法について】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・てんかんの治療方法
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