マンチカンを迎える~後悔しないために知るべき猫の習性や病気のこと
・マンチカンの飼育ポイント
・マンチカンの罹りやすい病気と治療費
「マンチカン」とは
マンチカンのルーツは北アメリカです。短い脚の猫は突然変異的に散見されていましたが、本格的なブリーディングは1980年代以降で、歴史も浅い新種の猫です。
マンチカンはマンチキン(munchikin):英語で小さいという類の言葉)とも呼ばれ、小さくて短足、おまけにとても人懐っこいと人気の出た猫種で、日本でも人気の上位にランキングされています。
マンチカンってどんな猫?
短い手足でちょこちょこ動き回る姿が、たまらなく愛らしく癒しを与えてくれるマンチカン。胴長・短足は犬に例えればダックスフンドというところでしょうか。懐きやすく賢いため、初心者でも比較的飼いやすい人気の猫です。
大きさは?
【体重】
オス 3~5㎏
メス 2~4㎏
猫の中でも小型です。
マンチカンの体の特徴は
(短足種は)
・短い脚でコミカルに走り回る
・体はがっちり型
・ジャンプも1メートルくらいは可
・オッドアイ(左右の目の色が異なる)も珍しくない
平均寿は?
猫全体の平均寿命に比べるとやや短命と言えるでしょう。
マンチカンの種類は?
種類としては被毛の長さによる分類と足の長さによる分類があります。
被毛 | 長毛種 | シルクのような艶 毛玉はできにくい |
短毛種 | やや長めの短毛 光沢があり手触りがよい | |
足の長さ | スタンダード | 長足 |
スーパーショート | 中間 | |
ラグハガー | 短足 床にお腹がつきそう |
マンチカンは短足というイメージが強いかもしれませんが、短足は全体の2割程度しか存在しません。
ブリーディングでは「長足」と「短足」を交配します。「短足」と「短足」の交配は死産のケースが多いので基本的には行われません。
被毛の色はレッド・ブルー・ブラウン・クリーム・ホワイト等で、単色のみならず複数の色が混じったり模様も豊富です。
マンチカンの性格は?
・人に慣れやすく、他の犬や猫とも仲良くできる
・賢くてしつけもしやすい
・大人になってもおもちゃで遊べる
・繊細で臆病な一面も持ち合わせている
マンチカンの飼育のポイント
ご家庭に猫を迎えるとき、まず最初に猫の特性を知り「猫を飼う」ということのイメージを作っておきましょう。
猫を飼うということは?
猫を家族に迎えたあと「こんなはずじゃなかった」と後悔する飼い主さんもおられます。
その声をひろってみました。
① トイレが匂う、掃除が大変
② 鳴き声がうるさい・噛む・引っ掻く
③ 思ったよりもお金がかかる
④ 病気の治療が大変
⑤ 部屋が汚れる・散らかる
⑥ 大事なものが壊される
というような声が聞かれます。
① ~ 猫の排泄物は臭いが強烈です。狭いお家の中で飼っているとその匂いが部屋中に充満することもあります。臭い対策は研究しておきましょう。
トイレのトレーニングがうまくいかないと物陰や狭い特定の場所に排泄するようになるのでトイレトレーニングが最初に必要になるでしょう。
② ~ 特に発情期中の雌の鳴き声に悩まされる方は多いのではなでしょうか。猫は夜行性なので、大きな声で一晩中鳴き続けることもあります。
子供を望まないのであれば最初の発情期の来る前に避妊・去勢手術を受けるのも選択肢の一つです。
一般社団法人ペットフード協会の「令和2年全国犬猫飼育実態調査」によると、ご家庭の猫で避妊・去勢手術を受けている割合は78.4%で、手術実施した時期は6~9カ月が最も多くなっています。
猫は元来獲物を捕獲するための素質を持ち合わせており、獲物を捕るために噛んだり引っ掻いたりする習性が根本にあります。
猫の嫌がるサインを見極め、嫌がっているようなら触らないようにしましょう。音や環境にストレスを感じやすいく、尾を左右に素早く動かしたり、耳をぴくぴくさせているときは要注意です。
③④ ~ 上記の調査によると室内飼いの猫の平均寿命は16.13歳で、生涯必用経費は1,261,493円となっています。
このデータは悪までも平均的なものですが、病気になったら予想以上の高額な治療費がかかる場合も稀ではありません。
フードに関しても、猫のライフステージに合わせたペットフードが販売されており、価格もそれに応じたものになります。
何らかの理由で食餌療法が必要な場合もでてきます。どういうキャットフードを与えるかによって、もちろん経費も変動します。
また別の調査でも出費の傾向をみることができます。
「東京都における犬及び猫の飼育実態調査概要(平成29年度)」東京都福祉保健局
(猫の平均寿命を15年として計算しています)。
年間の食費(3~6万円)×15(年)=45~90万円
年間の医療費(1~3万円)×15(年)=15~45万円
その他(1~3万円)×15(年)=15~45(万円)
トータルすると75~180万円ということになります。
⑤⑥ ~ 猫は犬と異なり、家具の狭い隙間や高い場所へも登っていきます。猫を迎える前には部屋の生理整頓や、高い場所に置いているものも安全な場所に移動しましょう。キャットタワーも置いた方がよいので、部屋の間取りのシュミレーションをしておきましょう。
マンチカンの飼育のポイント
【ポイントその①】 太らせない
肥満になると椎間板ヘルニアや糖尿病のリスクが上がります。
マンチカンは体型上からも「椎間板ヘルニア」にかかりやすい猫種です。
また、他の猫種にも言えることですが、肥満は糖尿病のリスクが高まります。
体重に注意しながら、食事は適切な量を管理していきましょう。
【ポイントその②】 運動スペースの確保
マンチカンは遊び好きの猫種です。猫は一般的に成猫になると遊びに対する興味が薄れてくる傾向にありますが、マンチカン成猫になってもオモチャで遊べる子が多いのでしっかりと関わってあげることが運動不足の解消やストレス発散になります。
そのためにはある程度遊べるスペースを確保しておきましょう。
【ポイントその③】 滑って落ちることもあるので環境に配慮
(特に短足種の場合)キャットタワーも子猫用か高齢猫用など高さも1メートルくらいの物を用意しましょう。1メートルくらいの場所へはジャンプでき、そこからさらに他の物へ飛び移ったりカーテンに爪をかけてさらに上に登ることもあります。
ジャンプのミスもあるので床に落下しても危険の内容に配慮しましょう。
【ポイントその④】 ブラッシングで抜け毛を取り除く
特に長毛種はグルーミングのときに自分の毛を飲み込んでしまいがちです。コミュニケーションの意味も含めて毎日ブラッシングをして抜け毛を取り除いておきましょう。
マンチカンのかかりやすい病気
マンチカンに限らず、猫が全般的にかかりやすい病気は次のようなものがあります。
(治療費は症状や治療法、各動物病院によって大きく異なります。参考程度にとどめて下さい)
【猫風邪】 ウイルスやクラミジアなどの病原菌によっておこる上気道感染症の総称です。
放置すると重症化のリスクがあるのできちんと治療しましょう。
治療法:内服治療
治療費目安:診察と1週間の内服薬処方 5,000円~1万円程度
治療法:対症療法
治療費の目安:症状により異なります
(例)点滴・内服薬処方の場~1回 5,000円~1万円 年間では27万円程度
【皮膚糸状菌症】 白癬菌による皮膚病 最初と最後の検査が必要なので最低2回の受診が必用です。
治療:外用薬
治療費目安:1回が4,000円程度
治療:内服治療 膀胱洗浄など
治療費の目安:5,000円~1万円程度
【結膜炎】刺激物質や細菌感染等の原因によって瞼の裏側にある結膜が炎症を起こした状態です。
治療:洗眼処置 点眼薬
治療費の目安:1回1,000円~6,000円程度
マンチカンに注意が必要な疾患
【椎間板ヘルニア】 背骨と背骨の間にある椎間板が変形して飛び出して脊髄を圧迫する病気です。
治療:内科的治療 外科的治療
治療費の目安:内科的治療 5~10万円 手術 30~50万円
【毛球症】グルーミングの際に自分の毛を飲み込んでしまい、消化器の中で塊を作ってしまう病気です。
自然に排泄される場合も多く、1センチ程度のものであれば問題ありません。
治療:胃の中に多量の毛玉が溜まりすぎている場合は内視鏡による摘出
腸へ移動した場合腸閉塞の危険性もあるので手術が必用
治療費の目安:内視鏡による摘出術 7万円程度 腸閉塞の手術 15~30万円
【猫伝声性腹膜炎(FTP)】 発症すると100%死亡すると考えられていた怖い病気。
猫がもともと持っている猫コロナウイルス(FCoV)がストレスなどの原因で突然変異によって強毒性の高いウイルスに変化してしまう病気で1歳前後の幼い猫に発症することが多く見られます。
治療:治療法はまだ研究段階
治療費目安:かなり高額
よくある質問
人気ナンバーワンの猫、スコティッシュホールドとの交配はおすすめですか?
短足のマンチカンは階段の昇降や物の上に飛び乗る(ジャンプ)も可能でしょうか?
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
補足:先天性疾患が発症する前に!遅くとも7.8歳までには加入しよう
ペット保険は、加入する前に発症している先天性疾患や既に発症している病気や疾患は補償の対象外となります。
そのため、病気になってから保険に加入しようとしても、肝心のその病気の治療費は補償の対象外になってしまいます。
また、加入後に発見できた病気であっても先天性疾患を補償の対象外としているペット保険や、慢性疾患にかかると更新できない保険もあります。
また一般的にペット保険では8~12歳で新規加入年齢を設定していることがほとんどです。早いところでは7歳で新規加入を締め切るペット保険もあります。
「健康なうちに加入しないと意味がない」「また年齢制限に引っかからないから保険の選択肢が広がる」という意味で遅くとも7~8歳までにはペット保険の加入、少なくとも検討をすることをおすすめします。
補足ですが、アニコムやプリズムコールではシニア向けのペット保険商品もあります。しかし保険料も高くなり、補償内容のグレードも普通のプランより下がってしまいます。
高齢・シニア向けのペット保険については下記の記事でも解説していますのでぜひ参考にしてください。
【マンチカンの特徴や後悔しないための飼育ポイント・病気と治療費】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・マンチカンの飼育ポイント
・マンチカンのかかりやすい病気と治療費